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その男
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「おいキミ、どうした?大丈夫?」
その時、頭上から知らない男の声が降ってきた。
ユキトはハッとして平常心を取り戻す。しかし舌打ちをしたい気分になった。この御時世にアカの他人を気遣うとは珍しい。しかも声は若かった。
放っといて欲しいユキトは「はい」と、そっけなく返す。しかし、男の次の言葉に顔を上げる羽目になった。
「そう?誰かを憎んでますって風だけど」
――なに、この人…
視界に入った男を認識した刹那、ユキトの体内のどこかが疼いた。
年齢は恐らく二十歳くらいだろう。長めの前髪は銀色に近く薄く、その奥の目の色素も薄い。不健康な青白い肌色で、しかし人形のように顔が整っている。ユキトが座っているので背は定かでないが170はあるだろう。スラッとした体型の彼は滑らかな動きでユキトの隣に腰かけた。呆気に取られている少年に名刺を一枚ポイッと投げる。
「お困りなら、相談に乗るよ?」
四角い小さな紙には『探偵』という胡散臭い肩書きと、胡散臭い男の名が書かれてあった。
『南倉-nakula-』と。
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