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その男
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「はいはいどーぞ、適当に座って」
「は、はあ…」
男――南倉の探偵事務所とやらは、こじんまりとしている割に壊滅的な状態だった。
あちこちに訳の分からない機械やガラクタ、新聞などの紙類があり足の踏み場が本気で無い。何故かネコを模した大きなヌイグルミまである始末だ。ソファに陣取るその横に、ユキトは仕方なく小さくなって座った。
「はは、なんだか和むね。あ、俺は南倉って言います。『東西南北』に『体育倉庫で押し倒したい』の南倉ね」
全国の南倉さんに謝れ的な自己紹介をした南倉に、ユキトは「はあ」とアホの子のように前の台詞を繰り返した。『もう知ってます』『なに言ってんですか』なツッコミを待っていた南倉は不満げな顔をする。
「つまんない子かも。名前は?」
「あ、朝霧ユキト、です…」
「『あさぎり』って『早朝』に『霧の中で押し倒したい』の朝霧?」
この人やばいかもしれない。お暇するべく立ち上がりかけたユキトの腕が、真正面から伸びてきた手に捕まれる。
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