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その男
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「性欲の亡者みたいな父親と嫉妬の権化みたいな母親だね」
話し終わった後、開口一番そう言った南倉に何も返せなかった。ユキトもそう思っているからだ。
感情論を含めキッチリ説明するには、自分が虐待されている事も言わなきゃならないと悟った時は遅かった。ユキトは蒼白になればいいのか赤面すればいいのか分からず下を向く。
「で、『大切な人』に酷いコトした男達と両親に復讐…ね。ま、よくある話だね」
そうなのか。ユキトは世間の広さを知る。
でも、よくある話だろうが知ったこっちゃない。ユキトの怒りは彼だけのものだ。俯いていた頭をそのまま深く下げる。
「お願いします!絶対に許せないんです!どうか実行する為に力を貸して下さい!!」
「イヤだ」
いともアッサリした南倉の拒否に、ユキトは絶句して顔を上げた。探偵は営業スマイルで告げる。
「だってユキトくんはソイツら殺したいんだろ?俺が協力しちゃったら殺人教唆もしくは補助だし。探偵と言えど、そんな御大層な犯罪には荷担できないよ。ムリムリ」
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