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その男
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「失脚、させたいです…父を」
大人の目を一途なほどに真っ直ぐ見つめて、ユキトは罠を仕掛ける。
詐欺に近いが交渉の基本だ。最初に大きな事を持ち掛けておいて譲歩すると、人は小さくなった事の方を了承しやすくなる。何としても騙しても、探偵の能力が欲しかった。
「『ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック』かな。引っ掛からないよ。デマカセは止めようね」
しかし少年は、探偵が心理学に長けている事を知らなかった。簡単に見破られてユキトは怯む。
「結局キミ、俺に仕事させたいだけだろ?あのね、だから殺人は駄目だって。無知なガキが人の生き死にに関わるのどうかと思うよ」
小馬鹿にした南倉の物言いにユキトはキレかける。横のヌイグルミを投げ付けようとしたが、他人の物だと思い出し何とか耐えた。深く息を吐く。
「…じゃ、何歳になれば関わっていいの?それは誰が決めるの。神様?」
しかめっ面で、でも静かな怒気を込めたユキトの声音。
敬語も忘れたそれに、南倉は目を丸くした。そしてプッと吹き出す。「ははっ!ユキトくん面白いね」と十数分前と真逆の事を言った。
「……うん。ちょっと気に入っちゃったかも。DVD、今度持ってきて」
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