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調査開始
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すうっと、無感情に視線を寄越してくる南倉にユキトは臆す。
息を呑んだ。自分より数年多く生きた分か、静かな威圧があって負けて折れそうになる。
――稲田さん――
しかしその時、大好きな姿が頭に浮かんだ。
初めて会った時に緊張し、方言を出してしまって照れる顔。
雪遊びをして一緒に転んだのに、散々謝って心配してくれた顔。
ゲームで遊んだりテレビを観て笑い合った事。
宿題を手伝ってくれたけど、結局二人して頭を抱えてしまった事。
母親に叩かれた後に、泣きながら抱きしめてくれた事。
宝物のような日々を、油断したら慟哭したくなる程の記憶を思い返す。
ユキトは探偵を見上げた。
「…やり遂げます」
強い力をその未だ幼い目に見付けた探偵は、「ならいいよ」と落ち着いたトーンで言った。この前のように、ユキトが座る真正面の一人掛けのソファに音もなく座る。
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