アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
調査開始
-
だがしかし、神経を張っていたからかこの時のユキトは耳が敏かった。探偵の発言内容を反芻すると、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。
「犯人…見付けてくれるんですか?」
殺人罪に巻き込まれたくない者にしては飛んで火に入る夏の虫な言動な気がする。考えが変わったのだろうか。そう表情にありありと期待を込める依頼人に、探偵は思いっきり苦虫を噛み潰した如くの顔をする。
「変なとこポジティブだねキミは…。失脚させる参考材料として犯人の証言が欲しいだけだよ。ハイもう脱線しないでね~あと1秒で答えないと協力辞める」
ムチャぶりする南倉にユキトは仰天して話を戻す。どこまで話したかをアワアワ思い出し「あと、その、稲田さんは」と、辿々しく口を開いた。
「俺にとって実の姉も同然の、人です…」
勢い付いた早口の語尾が消えていく。
声に出すと、切なさが増してしまった。また稲田の笑顔が脳裏に浮かんで泣きそうになる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
37 / 229