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調査開始後・南倉
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「若者の相手は疲れるね…」
夕方。ユキトが事務所を去った後、くあっと南倉は欠伸をした。長時間DVDを見続けたしょぼついた目で、ついさっきまで依頼人が座っていたソファを眺める。
非現実的な感情に身を任せ、それに酔っている世間知らずな坊っちゃんは意外と素直な良い子だった。
大人が子供に甘くないと知っている少年は、自分が否定される事をさほど怖がらない。少し頑固なようだが、ユキトが探偵を見直したように南倉も少年を見直していた。
「しっかし何でワザワザ訊いちゃったかな俺も…」
南倉は一人掛けソファにだらしなく背中を預け呟く。
恋人や夫が居る女性が他の男に性的暴行を加えられる場合、往々にして被害者はその愛しい人の名を呼ぶ。映像の中で、亡き母に助けを求めた稲田に恋人は居ないとほぼ確信していたのに。
「何でかな…」
どうしてか、ちゃんとユキトの口から正しい関係性が聞きたかった。終いにはムキになってしまった気がする。南倉は己の合理的でない行動を省みた。
省みたが、彼の明晰な頭脳は珍しく解答を導き出せなかった。
導き出したくなかったのかも、しれないけど。
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