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調査開始後・ユキト
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「これでよしっと…」
夜、ユキトは自室でビニール袋を縛っていた。持ち上げてみると、中でカサッと四角い箱が重力で傾く。バースデーカードも含め、ここには送られてきた小包の全てが入っていた。
調べたいから全部持ってきて、という帰り際の南倉の指示だった。ユキトとしても何だか身近に置いておきたくないので有難い。DVDと一緒に今日持って行けば良かったと後悔する。
「殺人に協力する為じゃないから」と念を押した探偵は、とりあえず稲田を輪姦した男達の素性を突き止めるらしい。男達がDVDをユキトに送った犯人にしても他に黒幕が居るとしても、探偵曰く奴等を取っ捕まえれば話は大きく前進するそうだ。
ユキトへの悪意理由なども後は事情聴取して――「大丈夫、白状させる手段なんて幾らでもあるから」と笑顔で言った探偵が至極怖かったが――芋づる式で分かる、そう南倉は見解を述べた。
プロでも大人でもないユキトは、黙って探偵の言う通りに動く事を決めた。
自分が誰かに恨まれている可能性を知った今、もちろん恐ろしくはあるが男達への復讐心も薄れていない。
防犯ブザーを南倉から渡され「なるべく一人にはならないように」と言われたけど、ぶっちゃけ自分の身など二の次だった。自らも知らない捨て鉢な度胸がユキトにはあった。
「とりあえず…机の棚に隠しとこうかな」
南倉は早めに欲しいらしいが、毎日探偵事務所を訪問する訳にもいかない。
只でさえ今朝も時任に「どちらへ行かれるのですか?」「変な人に付いて行ってはいけませんよ」などと幼稚園児に対するような心配をされながら、やっと出掛けられたのだ。咄嗟にユキトは「友達と遊ぶ」と返したが嘘もいいとこである。
でも、見るからに怪しげな探偵と中学生が会っていたなんて心配性な執事が知ったら卒倒するかもしれない。
――仕方ないよね、うん…嘘も方便っていうもんね…
胸中で言い訳をしつつ、今更ながら指紋が付かないよう手袋をした手でユキトは証拠品を棚に納めた。
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