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探偵と依頼人
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だが、仕事は早い。
「小包からも収穫なし。メイドさんとユキトくんと配送会社の人達の指紋しか出なかった。送り元を辿ってもフェイク。やっぱり一筋縄には行かないね」
ビールの缶を拾って捨てる依頼人に、もぐもぐクッキーを食しつつも綺麗な発音で南倉が言う。
使用人の指紋はユキトが――心の中で詫びながら、配送会社の方は探偵が採取した。南倉は予想していたらしいが周到な犯人のようだ。
指紋は元よりDVDの方も芳しくない。母親の裏の人伝らしく、男達についても有力な情報は得られていない。十中八九単なる金の契約で、報酬が貰える限りは裏切らずに何でもやる類いの連中だろうと南倉は言った。
ゴロツキには違いないが、そんな腐った奴らが実際に居るのだ。そして、稲田を傷付けた。ユキトは拳を強く握る。
「ま、そんな焦んないでよ。…ああそうだ、コレからも何も出なかったけど。要る?」
静かに堪える少年を尻目に、南倉はピラッと紙を指で挟み上げる。
例のバースデーカードだ。残念ながら、これからも何も出なかった。「イイ趣味してるよねえ」と嫌みなメッセージを探偵は皮肉る。こういう道徳観はまともらしい。ユキトは密かに感謝しつつ首を横に振った。なんならそんなの燃やしたい。
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