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恋心
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「ユキト、はっけぇ~ん」
間延びした声に、ついユキトは眉間に力を込めた。
昼休み、校内にあるカフェテリアでの事である。ジュースを飲んでいたユキトが目を上げると、昼食らしいパスタを持った轟が「探したよぉ」と断りもなく丸いテーブルの真正面に座った。ユキトはこっそり嘆息する。
自分は恨まれている。誰かと一緒に居ると、その人も攻撃されるんじゃないか。そう思ったユキトは出来る限り一人になろうとしていた。この点に関しての考えは南倉と逆で、そして譲れなかった。
――いや、違うかな…
それは建前で、もしかしたら誰かと一緒に居るのが怖いのかもしれない。優しい振りをして実は自分を憎んでるのかもしれない。そういう猜疑心があった。ユキトは怖がっていないつもりだったが、やはり本能的な部分が警戒していた。
それは何もクラスメイトだけじゃなく使用人にも及んだ。時任だけは大丈夫だったけれど、また人を『区別』しているのだと思い自分が嫌になる。
「そういやユキトさぁ、部活どーなったの?」
しかしユキトのそんな事情を知らない轟は普通に駄弁ってくる。
きっとクラスメイトを避けているのは彼も気付いているだろうに、とユキトは反省しつつ口を開いた。
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