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飲み込む
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「やっぱり。ダメだよ?ちゃんと食べないと。」
「ご、ごめんなさい…」
少し注意をしたら途端に悲しそうな顔をして俯いてしまった。食べるの苦手なのかな?
そっと頭を撫でてやるとビクッとしたけど逃げることもせずに大人しくしてくれている
「ごめんね?今、ゼリーしか持ってないけど食べてみる?」
でも、一応病院で配布されてる胃や腸にも優しいゼリーなので翠でも少しは食べられるだろう
翠が食べ物に対していいイメージを持っていないことも、吐くのを恐れているのもおおかた理解できる。でも、ちょっと頑張ってもらわないと翠は食べること自体をそのうち諦めてしまう。そうなると、もっと苦しくなるのは翠自身だ。
嫌なのはわかるけど、少しでもいいから口に何かを入れてほしかった。
「いら、ない」
「昨日の夜も朝も食ってないんだろ?」
控えめに頷く。
「怖くないよ。翠、みて?」
そう言ってゼリーを見せる。そして、俺が少し食べて見せた。
「ね?食べられるよ。」
「…俺、は無理…なの」
そう言って口を固く閉じた。
「無理じゃないよ?俺が食べられたんだから翠も食べられる」
ね?と、もう一口ゼリーを飲み込む。
「口、少しでいいから開けて?」
「開け、たら、入れる?」
「うん」
「……いっぱいは、やめて、ね」
そう言って少し口を開けてくれた。
「ありがとう」
翠の口にゼリーの出口を当て、少し袋を押す。
すると、翠の口の中にゼリーが入ったようでまた一瞬で口を閉じられた
ゼリーのフタを閉めて翠に目をやると息を止めて口の中のゼリーを噛むことも飲み込むことも出来ずに苦しさから顔を真っ赤にしていた。
急いで翠に近づく。
「一回息吸ってみようか」
首を横に振ってパニックになりかけている
「口で息していいよ。落ちちゃってもいいから」
そう言って背中を撫でてやると口を開けた。
「っ…はぁっ、はぁっ、っう…ぃゃ…っ」
「大丈夫だよ。ゼリー無理そう?一回だそうか」
そう言ってティッシュを口元に当てるとゼリーが出されたのがわかった。
「ごめんなー」
よしよし、頑張ったね
と、背中を撫でてやる。はぁはぁ息を切らし、泣きそうになりながら翠はゼリーを見つめていた
あぁ、食べさせてあげたい
翠でも食べられるんだよ。という自信をあげたい。
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