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冬の章二 色なき風
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「──────」
遊命は言葉を失い、思考停止のまま可児を見つめる。
「止まらんといてくれる? さらーっと流せや」
「……いや、……えーと…。ふ……複雑だな?」
「全然」
「え……エグいな」
「下手くそか」
可児が、カラカラと笑う。
こんな時こそ戯れてくれた方が楽。なんて自分で思っていたのに、いざとなると碌な言葉が出てこない。
脳内で弾き出された言葉は、可児の過去を探る詰問のようなもので、
「車でホテルに行ったの、その人……?」
言ったそばから、後悔した。
「何で知ってん?」
可児が不思議そうに返す。
「藍ちゃんが、可児にそういう噂があったんだって」
「あぁ、誰かに見られたんやな。そういう訳で、俺にもいい思いは一個もない。だって、想像してみ? ずっとおとんの名前呼んでんで? 白けるやろ」
「な…萎えるかも。だから、『最初』より『最高』の方が大事なのか……」
「よう、覚えてんな」
「もう、激しく賛成だよ…。何でこんな話になってんの?」
「何ででしょ?」
可児がさぁ?としらばっくれた。
「おまえだよ、おまえ。可児が変なこと訊くからじゃん」
可児は、「そうやった」と、またカラカラ笑った。
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