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冬の章三 稲妻は近くにありて轟かず
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気が動転して、すっかり忘れていた。
『なぁなぁ、早生君、お友達? 紹介して? なぁ、紹介して?』
スジョンの声が楽しそうに跳ねる。携帯の向こうにいる姿が、簡単に想像できてしまうほどハートを飛び散らせている。
「嫌じゃ! 俺のや」
『えー、うそーん。何で今まで黙ってたん?』
「喋るわけないやろ! スジョンのどストライクなのに」
『もう『ど』も『ど』やわ。好き。めっちゃ、好き。むしゃぶりつきたいっ! もう、唾付きでもえぇわ』
この厚かましさがむかつく。『俺のや』って言ってるのに関係なく、どうにかしたい感を垂れ流し。
違う、そうじゃない。そんなことのために電話したんじゃない。
「えぇから! 横に俺が居てるやろ?」
『え? あ、ホンマや』
「おい」
『冗談やんか。ハハハーン、これはヤバいね。制服が仇になってるやん』
「やっぱり……?」
『こんな珍しい制服少ないで。グレーの開襟シャツに白パンなんて、すぐに学校がバレてまうわ。僕やったら、ここから攻めるね』
スジョンの言葉に、あぁ…と溜め息が溢れる。
どっと力が抜け、壁づたいに踊り場でへたり込んだ。
『早生君? 落ち込んでんの?』
「……自分は、楽しんでるやろ」
「まぁまぁ。そんな悲観することもないで。未開封の合否の確率は50パーセント。つまり、中西が見る確率も50パーセント。このタグで早生君に辿り着く可能性は、もっと低いやろなぁ」
中西某────俺のストーカー。
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