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「なんで浮気した?」
そう聞くと、紫音は首を横に振る。
何言ってるんだって顔で、俺の目を見る。
「俺だって信じたくないよ…。でもさ、おまえの部屋にこれが捨ててあったんだ。どういうことだと思う?」
「んっ!んんんー!!」
「おまえが誰かと行ったって証拠だよな?」
「んーんー!!んんっ、んー!!」
さっき握り潰したラブホの会員証を広げ、紫音の前にチラつかせる。
ずっと首を振って否定しているようだが、紫音の声は俺には届かない。
言い訳なんて、聞きたくない。
「俺、明日休み取ったんだ。久々に紫音と一緒にいれるなって、何しようかって考えてた。なのに、帰ってきたらおまえはいない。俺を裏切ったのか?」
「んんん!んー!!!」
「なんでおまえが泣くんだよ…。今更後悔してる?泣いたら許してもらえると思ってる?」
「んーん!!んんんんっ!んっん!!」
「これでも今すげぇ抑えてるんだわ。おまえに何するかわかんねぇ。怒りで狂って、おまえのこと傷つけそうで怖い」
力強く紫音を抱き締めると、紫音は大人しくなった。
このまま許してしまおうか。
紫音に寂しい思いをさせたのは俺だし、このまま紫音との関係がダメになるくらいなら、浮気の一つや二つ、許してやるべきなんだろうか?
俺は紫音の浮気相手を知ったら殺しかねないし、俺が犯罪者になれば麗音にだって辛い思いをさせる。
俺はどうすればいい?
「悪い。頭冷やしてくる。麗音にそれ解くよう頼んどくから」
「んっ!んー!!」
紫音はずっと俺に何かを伝えようと叫んでいたが、振り返ればまた頭の中を掻き乱されそうで、俺は振り返らないまま部屋の扉を閉めた。
部屋を出ても紫音はずっと叫んでいた。
俺の左手の中で、結婚指輪が寂しく光る。
「何で…………」
寂しさや悔しさ、裏切られた悲しみからこぼれた俺の声は、弱々しくて震えた自分らしくない声だった。
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