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物足りなくて目を覚ますと、もう夜は明けていて、部屋中に朝陽が差していた。
目の前のテーブルには空き瓶が5本。
そしてキングサイズのベッドには、上司を差し置いて部下である要とその恋人の優がぐっすりと眠っている。
妻に浮気された男の前で、よくそんなことができるなと溜め息が出る。
頭がガンガン痛くて、冷蔵庫を開けミネラルウォーターを飲み干すが、そう簡単には治らない。
酒には強かったはずなんだがな…。
いつのまにかこんなに酒に弱いジジイになったと自嘲するように笑った。
テーブルに置いていたバキバキのスマホの画面が光る。
辛うじて読めるその文字は【麗音】と表示されており、全部を無視してもいられないのでとりあえず電話に出た。
『あ、父さん?!麗音だけど』
「分かってる。要件は?」
『朝起きて父さんの置き手紙見て寝室に行ったんだけど、母さんいなくて……』
「紫音が?!」
どういうことだ?
昨日スカーフ噛ませて、両腕も縛り上げてベッドヘッドへくくりつけたはずだ。
居ないはずない。
『俺学校休んで探しに行った方がいい?』
「本当に家に居ないのか?!」
『たぶん…。一応全部探したつもりなんだけど…』
「今すぐ家に戻るから、おまえは学校行け。広翼待たせてるんだろ?」
『うん、わかった。行ってきます。母さんが見つかっても、ひどいことしないでね』
俺は通話を切り、急いで服を着替えた。
財布から適当札束を出し、テーブルに置いて急いで部屋を出る。
エレベーターを待つ時間も惜しいくらいで、俺は時計を見ながら足を揺らす。
エレベーターが着いてすぐ「閉」を連打し、1Fを押してどの階にも止まらないことを祈った。
ホテルを出てすぐにタクシーを拾い、家の前で料金を支払って、急いで鍵を開けて家に入る。
「紫音!!!」
家の中は紫音のフェロモンで充満していて、この家にいることは明らかだった。
麗音はこの匂いが分かっていなかった。
番にしか分からないというのは本当なのだろう。
二階へ行き、寝室を開ける。
そこは昨日俺が乱したどころじゃなく、まるで空き巣でも入ったかのようだ。
隣の紫音の部屋は昨日俺が入ってから変わった様子はなく、寝室だけがぐちゃぐちゃに荒れている。
そしてフェロモンは寝室の奥、俺の部屋から放たれていた。
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