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有名人は辛い
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ドシドシと大股で自分のクラスを通り越して4組まで足を運ぶ。
「和田先輩~、そんな早歩きしないでくださいよ~」
とか言いつつ、俺よりも長い脚でピッタリと後ろをついてくる。
くそ、何もかも腹立つな!
「お前は自分の学年の所に行けよ!着いてくるな!」
「…じゃあ先輩も他人の教室じゃなくて自分の教室に行けよ」
「…っ!」
たまに紅谷ってすごく怖くなる。
ドスの効いた声で囁かれるとゾッとしてしまう。
「お、俺は山田に用があるから「ねえ、あれ和田君じゃない?!」へ…?」
「あ、ホントだ!紅谷君も居るぅ!」
紅谷から視線を外してあたりを見回すと凄い視線を浴びていることに気づいた。
俺ってそんなに有名だったのか。紅谷はなんとなく有名そうだけど。
「先輩、すっかり有名人ですね」
「なんで…」
「そりゃあ生徒会に入れば…って、先輩は今年からこの学校に来たから知らないか」
「生徒会が人気なのは聞いたけど…」
「っま、先輩顔は良いから、」
クイっと顎を掴まれ紅谷の顔が近づけられる。突然のことにポカンとしていると紅谷の鼻で笑った息がフッとかかった。
…他人の吐いた生暖かい息を吸っているって凄く不快だ。
「ファンクラブとかすぐ出来ちゃいますよ」
至近距離で目を細められてそんな事言われても「へぇ、そうですか」しか言うことないんだけど。ないんだけど、こんな些細な会話でもなんか周りがえらいことになっている。
「キャァアア!」
「いいなぁ~!」
「二人ってもうそういう関係なのかなぁ?!」
まさに阿鼻叫喚。
もはや地獄絵図と化した男子の黄色い悲鳴の飛び交う中、男2人が至近距離で一体俺は何をしているんだ。
山田に紅谷の事抗議しに行くつもりじゃなかったのか。
「っしゃ、写真んんんんn「あれ、和田と…紅谷だっけ?何してんだよ?そんな輪に囲まれて」キャァアアアア!山田様の弟様の悠斗君んんん!!」
山田って案外天然なんだな。凄く俺の中のポイントは高いぞ。
あと「山田様の弟様の悠斗君」はびっくりした。凄い説明力のあるモブだな。
「先ほどはどうも」
「ああ。…そんで、何か用?」
「何か用も何も、コイツの事で話があってだな!」
「同じ部屋になる事か」
「そうだよ!コイツ、柚子ちゃん先輩「あ”ぁ”?」…篠原先輩の弟子らしいのですが、」
ダメだ、本人の前だとありのままの俺が出せない。
このままでは抗議どころか、微妙に仲の良い先輩と後輩に見られてしまう。
「山田、ちょっと2人っきりで話がある」
「キャァアアアア!2人っきりで話があるって!」
「何話すの?!」
「むしろ何かするんじゃない?!」
「…え、お前俺に何かすんの?」
「山田、お前本当に天然さんだな」
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