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生徒会長
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「…よし。」
さっそく昼休みに生徒会室にやってきたぞ。
途中まで様子を見ていた芦屋もやっと教室に戻ったみたいだし、俺も帰ろうかな。
「あれ?和田君、どうしたの?」
「あぐっ…会長…」
タイミング悪く、会長はちょうど生徒会室に戻るところだったらしい。
これは神が会長をお昼に誘えと暗示しているのかもしれない。
「お昼、一緒に食べませんか?」
「…っ!!!うん!」
―――
「嬉しいなあ。やっと和田君とお昼食べられて」
「お昼くらいでおおげさですよ…大体、他の人のほうがいいと思います」
なんというか、この人どうしようもなく弄りたくなるっていうか…この風雨にさらされても元気に咲く花の如く立ち直り早そうだからつい加減を忘れそうになるんだよな。
「恥ずかしながら、お昼を一緒に食べるような人があんまりいないから」
「えぇ~、ソンナコトナイデショ~」
まあ、そうじゃなきゃ俺が誘われてないよな。
「いやいや…クラスの人は俺の事友達って言うか…崇めてるから」
「会長を軸に文化祭、体育祭の気合いの入り方がかわるんでしょうね」
同年代にまで崇められる程人望があるのか。
こんないい人、で終わりそうな男に一体どんな魅力が…?
「そもそも、僕はずっと生徒会室にこもりっきりだし、中等部の時に仲の良かった人たちも違うクラスだし…山田先輩と翠さんは友達も後輩も多いし…もうすぐ2人も居なくなるし…僕は孤独だ…」
「見てください、会長。今日のたこさんウインナーは忠実にタコの足の数を表現したんですよ」
「あ…うん、…君って態度が素直だよね。」
アハハ、と力なく笑う会長。
その強がる感じがどこまで耐えられるのか実験したくなるって言うか、きっと会長の友達になった人もそう思ったんじゃないだろうか。
「でも会長の友達になったら毎日楽しそうなのに、クラスの人たちはもったいないですね」
「!っそ、そんなことないよ。僕なんて…」
「本当ですよ。会長といるとなんか、こう…芽生えるんですよ…」
「芽生える?」
「うーん……加虐心とか」
カラン、と音をたてて会長の箸が落ちた。
どうやら発言を間違えたらしい。会長と仲が良くなるどころか、溝が深まったみたいだ。
「ごめん、僕ちょっと急用を…」
「どこ行くんですか」
「だから、急用が…」
「逃がしませんよ、会長」
「っわ、和田く…?!」
「こんな気持ちになるの、会長だけですよ。責任とってくださいね」
「っや!何して?!和田君…っ!んっ…!」
―――
「紅谷、これ、何?」
大きく5月号と書かれた表紙の薄い本。
大量の文字がプリントされた紙がホッチキスで止められている。
「和田先輩、知らないんすか~?うちの学園の目玉なんすよ。月1で文芸部が発行するBL小説。」
今日は生徒会室に誰もいなくて悲しい俺に、励ましの言葉でも言いに来たと思ったら…お前…
微妙に会長と気まずいこのタイミングでこれが会長の目に入ったら誤解を増幅しかねない。
「知らないけど…」
「今月号の見どころは、実録!生徒会長の本当のキモチ!~今話題の新人役員の優しい手ほどき~らしいっすよ」
「でかい声でタイトル言うのやめて!?」
「まあまあ。こんなのデタラメってわかってるし、大丈夫っすよ…一部の人は。」
「その他の大部分には誤解されるのかよ?!」
「そのうち新聞部からオファーがくるっすよ。人気者は辛いっすね」
「いやいやいや!これ、後半全部うそだし!」
「どっからっすか?」
「この箸を落としたシーンから…」
「………え、じゃあ加虐心が芽生えるとか言ったんですか?」
「…」
俺が悪いのか。
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