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彼と2人っきり
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「あの、一条さん、でしたよね?俺を運んでくれたんですか?」
「竜司でいい。…部屋分からなかったから」
「いえ、ありがとうございます」
「…ぁあ…」
「…」
「…」
…
帰った方がいいよな。
いや、でもこの距離感と雰囲気はなんとなく俺に話があるような…そういえばさっき屋上に呼ばれたんだっけか。
「…そう言えば、何で屋上に呼んだのか聞いてなかったですけど」
「っ!!いや…それは…何でもなくて…」
「何でもないんですか?」
コクコクと俯きながらうなずく。
顔は見えないが耳が真っ赤だ。何を照れてるんだこの人。
「てっきり、俺カツアゲされるか、調子乗ってるんじゃねーぞ、って言われるんだと思ってました」
タハハ、と冗談めかしく笑うと竜司さんも苦笑しながらそんな事しない、と言った。
この前テレビで見たけどマイルドヤンキーが流行っているらしい。もしかしたら竜司さんもそうなのかもしれない。
なんかそんなに悪い人っぽくないぞ。ヤンキーと言うよりはヤンキーがよく来るバーの店長って感じがする。要は高校生っぽくない。
「な、あ」
「?」
「お前…甘いもの好きか?」
「え、はい。好きです」
「…っ今度一緒に…っけ、ケーキ食べに行かないか?」
およそ、この人が絶対に口にしなさそうな単語が飛び出て来た。
ケーキって、あのふわっとろの白くて甘い奴の類ですよね?
「ケーキ好きなんですか?」
「あぁ。お前チョコが好きだって…文芸部の奴に載ってたから…ケーキも好きかと思って」
「いいですね!」
ガバっと竜司さんの腕をとる。
「俺も好きですよ!」
「…っ…」
「いやぁ、嬉しいなぁ!実はですね、ケーキバイキングのチラシを見つけたのはいいものの、誰も誘いに乗ってくれなくて困ってたんですよ!さすがに男一人であの女の子の中に紛れ込むなんて女性専用車両に紛れ込む並のメンタルが必要ですからね。そんなタイミングに竜司さんの登場ですよ!グッドタイミングですね!」
「そ、うか」
「今度の日曜とかどうですか?20%OFFですよ!」
そう言うと目をぱちくりさせながらもコクコクと頷いた。
テンションが上がり過ぎて少々強引に誘った気もするがしょうがない。だって嬉しいんだもの。
「楽しみですね~!」
「…ああ。」
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