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篠原先輩
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「あ、改めて…和田芳人です…」
「山田 悠斗っす。」
「篠原だ。」
先ほどの自分の愚行からか、篠原先輩はまるで俺が居ないかのように山田だけに握手を求めた。
いいなぁ、俺も小さい手でぎゅっとしてほしいなぁ。
「和田、そんなに握手してほしそうにするなよ…」
気づくとまた山田が引いていた。
「な、なんのことだよ」
「いや、右手すごいワキワキしてるぞ」
「してねーよ」
平静を装いつつ左手で思いっきり右腕を苛んだ。
「おい、変態」
「違います」
篠原先輩が子猫のような目で侮蔑を含みながら睨んできた。
とりあえず誤解を解かなければ俺はこの一年先輩の頭を撫でることはおろか、お弁当さえも不気味がって食べてもらえないかもしれない。
いや、むしろ洗濯とかお風呂で背中を流すことも出来なくなるんじゃ…
「次変な事言ったら殺すぞ」
先輩、可愛い見た目して生意気な事言うなんて…!
可愛いなぁ…まるでオーストラリアに棲息するタスマニアデビルみたいだ。
いや、今は誤解を解くことに集中しなければ。
「ちょっと待ってください。さっきのは本当違うんです。
先輩がたまたま故郷の妹たちにそっくりでして、俺は妹の事を天使のように思っていたのでその妹に似ている先輩を見ていたら無意識に天使と言ってしまい、つまりは不可抗力です。決して先輩が天使と言ったわけではなく、天使に似た妹に似ている先輩のことを天使と呼んでしまったのに過ぎないんです。」
「…意味わかんねーよ」
「和田…お前…どちらにしろ変態じゃないか」
「どこかだよ?!」
「あえて言うなら全部だな」
「信じてください、先輩。俺決して変態じゃないんです。」
俺より一回り小さい先輩の目線に合わせて腰をかがめる。
あぁ~、小さくて可愛い。頭撫でて~。
「…お前…」
「?」
「俺がチビだって馬鹿にしてんのか!!」
「ぐふっ!!!」
「和田?!」
みぞおちを殴られパイプのベッドにダイブする。
篠原先輩はやっぱりタスマニアデビルだと思った。
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