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柚子ちゃん先輩
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「ふぉおおおっ、集団の中にいるとより一層先輩の背の小ささが際立って可愛い…!!!!」
「山田、和田君って何時からこうだった?」
「篠原先輩を初めて見た時からずっと。」
食堂に行くと偶然隣のクラスだった山田と合流した。
山田と芦屋は同じバスケ部らしく、ミーティングがどうの、メニューがどうの、俺に関係ない話しをしてくるので俺はしばらく黙ってとろろ蕎麦をすすっていた。
「あっ、見て!生徒会長だ!」
「カッコいい~!」
「何時見ても可愛いな~。篠原先輩は。」
「!!」
皆の視線を追いかけるとさっそうと歩いてくる爽やか集団。
その中に居た柚子ちゃん先輩を見つけた俺は冒頭に戻るわけで。
「柚子ちゃん先輩…っ、あんな背の高い人と喋って…頑張って顔あげてるの可愛い…!!!」
「その柚子ちゃん先輩と喋ってるのが有名人の紅谷(べにや)君ね。」
「いいなぁ。俺もソイツになりてぇなぁ」
「ソイツってねぇ…見たとおり超不良で、喧嘩はこの学校の番長さんをしのぐって言われてるほど…って聞いちゃいない」
キャッチボール出来てない会話をしていると先頭に立っていた長身の男…入学式で挨拶してたから多分生徒会長がこちらを指さした。
「?」
「君が首席の和田 芳人か。」
「はい」
周りの視線が自分に集まるのを感じて少し緊張した。
しかもこの生徒会長…落ち着いた雰囲気の低い声で明らかにエリート!御曹司!ってオーラがにじみ出ている。
生徒会長と言うよりは、もはや社長だな。
「確か、柚子と同じ部屋だったな」
「…ああ。」
「そうか。私は生徒会長の石田 誠一。柚子は少し乱暴だけど、基本優しいから。仲良くしてやってくれ。」
「はい。もちろんです」
石田会長の笑顔につられ、こちらもにこっと笑いながら握手をする。
そうか、コイツは柚子ちゃん先輩を「俺の柚子は少し乱暴だけど~(※言ってない)」なんて言うくらいの仲であってつまりは、俺の敵なわけだな。よく分かった。
「柚子も仲良くしてやれよ」
「…ッチ。」
会長に言われて渋々、と言った顔で手を差し出してきた。
もちろん俺は両手でそっと包んで有難みを深く感じつつ、その手の感触を心に深く刻んだ。
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