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その日から、君島は宗徳と共にいることが多くなった。宗徳は朝必ず迎えに行き、君島は放課後には必ず花壇に足を向かわせる。
放課後、仕事を終わらせてから花壇へ向かうと花に水をやる宗徳を見つけ、どこかむねがほっこりと暖かくなる。そう気付いた時に、ふと君島は安本といるときに、果たして自分はこんなにも穏やかな気持ちでいたことがあっただろうかと思った。
安本は、付き合ってからも俺様な態度で、傲慢だった。そして、浮気癖があった。あからさまに自分の前で可愛い男の子を連れ、肩を抱き、部屋に連れ込んでいるところを幾度も見かけた。
『浮気はやめてくれ』
と何度も懇願した。だが安本は、いつもいつも
『愛してるのはお前だけ』
と甘い顔ですり寄り、君島はそれをしょうがないなと受け入れる。
君島は、誰かと付き合うという行為は安本が初めてだった。他の人と比べようがない恋人同士の付き合いというものを君島はよく知らなかった。
全てが安本に教えられることばかりで、安本の様な彼氏が正しい彼氏像なのだろうと無理やり自分を納得させていた。
そんな付き合いは、正直とてもしんどいものだった。恋人同士というものは、しんどいものなのだと思っていた。
だが、宗徳との付き合いはどうだろうかと考えた。
自分たちははっきりと『恋人である』と付き合っているのではない。
けれど、友人と言うには距離が近い。
以前なら、宗徳に対する感情ははっきりと『友人』であると言えたかも知れない。だがそう言えなくなったのは、君島の中の宗徳に対する気持ちが友人と言うには少しちがうのではないかと思うようになったためだ。その証拠に、宗徳と別れる時はいつも少しさみしくなる。二人っきりでゆっくりといられるのは放課後のこの時間のみ。それ以外の時間は生徒会の仕事があるためあまり一緒にはいられない。
その事実をかなしんでいる自分がいるからだった。
だが、これを恋だともはっきり言えない。
…まだ、正直、安本のことをどこかで思っている自分がいる。そんなに簡単に忘れることなどできるはずもない。
だけど、君島は日々過ごすうち安本のことを思い出すことが少なくなっていた。
「会長」
「あ…」
そんなある日、君島が放課後仕事を終えていつものように花壇へ向かおうと急ぎ足でいると後ろから声をかけられた振り向いて、そこにいるのが宗徳だったことに君島は驚いた。
「珍しいですね、偶然会うだなんて。」
「あ、ああ、そうだな。お前こそどうしたんだ?この時間はもう花壇にいるんじゃないのか」
にこにこと笑いかけながら目の前に駆けてくる宗徳に君島が問いかけると、『先生に呼び出されて用事を済ませていた』と答える。
「…もしかして、今から花壇へ向かうところでした?」
宗徳の問いに素直にこくんと頷くと、宗徳は嬉しそうに少しはにかんだ笑顔を見せた。
「…はは、すっげえ嬉しい。」
――――――…あ
ほんのりと顔を赤くし、照れたように頭を掻き本当に嬉しそうに笑みを浮かべる宗徳に、君島の胸に小さな何かが灯るのがわかった。
「一緒に行きましょうか。…会長?」
だが、次の瞬間宗徳の後方に見覚えのある顔を見て一瞬にして顔から色をなくす。それに気付いた宗徳が君島の視線を追って振り向くと、そこにはかわいらしい男の子の肩を抱きながら射殺さんばかりの勢いで自分を睨みつける安本風紀委員長がいた。
そして、君島と宗徳が安本を見つめてからほんの数秒後。
安本は、隣で肩を抱く男の子に口づけた。
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