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秋の夜、月の影
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いつも見ているのは、無機質な素材の天井か、シワのよったシーツで。意識も、俺の中には置かないで、そこに投げ出して預けておく。
相手の顔や身体だとか、俺が上げる声だとか、ソレが出入りする感覚だとか、カメラが回されていることだとか、周囲の視線や耳障りな水音、その他諸々は、全部、苦しいという感覚ひとまとめにして、受け流しておけばいい。どうせ、すぐに通り過ぎていく。通り過ぎてしまってから、意識を俺の中に戻せばいい。
それでもやっぱり暇だから、たまに相手を見てみたりする。俺の中に意識を戻す。快感を意識してみたり、他の目にうつる自分自身を意識して、美しく、妖艶に、演じてみたり、する。
それで、ああ、やっぱり苦しいだけだなぁと、笑う。嘲笑う。
滑稽だ。
俺も、俺に突っ込んで腰を振る目の前の男も、この世界もだ。全て全て。
俺にとって、美しかったのは、あいつだけだった。
俺が、汚してしまったあいつだけ。
消せない罪がある。
許されない、罪が。
まあ、許されたいと思っているわけでもないけれど。
その罪を感じるたび、首輪に触れる。
本来、俺の首にはいらないはずの、皮でできたそれ。
Ωとして、生きてきた。これからも、Ωとして生きていく。この、冷たい首輪に捕らわれて、四季が巡れど、柵から抜け出せぬまま。
本当の俺の性が、αだったとしても。
誰よりもΩらしく、生きていく。
そうしてまた、雄を咥えた。
首が、締められるような気がした。
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