アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
4
-
朝比奈side
デスクワークの仕事が一段落ついて、トイレに行くついでだからと、
緋色の病室をそーっと覗いた。
もし起こしたらかなり怒るもんな…
「あれ?いないじゃん」
ドアをそーっとあけて、静かにベッドの歩み寄った俺、
バカみたい…
さーて、どこ行ったのか。あのお馬鹿ちゃんは…
朝比奈は、不自然に膨らんだ布団をきれいに直しながら、
病室をキョロキョロと見渡した。
まぁ緋色の居場所なんてわかってるんだけど…
「はぁ、また叱らなきゃ」
俺は叱るのが苦手だ。
頭ごなしに叱るのもどうかとおもうし、
かと言って、諭すようにも言えない…
どうせなら。と、一切手をつけられていなかった朝ご飯を持って、
病室を去った。
向かった先は、もちろん晴の病室。
なんて言って叱ろうか。と、考えながらドアを開けると、
そこには、仲良く抱き合いながら眠っている2人の姿があった。
シングルベッドだし、狭いだろうに…
まぁ、当の本人たちは、そんなこと気にしないんだろうけど。
それよりも、一番驚くのは晴。
あんなに無防備に寝てるなんて…
いつもなら、誰かが入って来たら起きるくらい眠りが浅いのに…
やっぱり緋色の隣は安心出来るのかな?
しばらく親になったような気持ちで2人を見つめていると、
うっすらと晴が目を開けて、その大きな瞳に恐怖を写した。
「…っ……ぅあ…あ…」
「大丈夫。良く見てごらん? ね、僕だよ。朝比奈先生」
「…せんせ…?」
「おはよう、晴。 良く眠れた?」
「…うん、あ…せんせ…」
まだぼんやりしていた視界と思考がはっきりしてきたのか、
晴の瞳に、俺が映るようになっていた。
「ちゃんと寝れて偉いな。 ご飯はどうする?食べてみよっか?」
「えっとね、ヒロ君いたから眠れたの。 それでね、食べる、いやなの…」
そっかそっか。と、頭を撫でると、晴は嬉しそうに笑った。
やっぱり晴は笑ってるほうが可愛いよ。
なんて恋人じみたこと言うと緋色が怒るから思ってても言わないけど…
「…ね、ヒロ君、起きて。 起きるのぉ」
俺が何もしないから暇になったのか、
緋色を軽く揺すって、起こそうとし始めた。
「ちょっと晴…」
緋色の目覚めの悪さは酷いと、前にナースステーションで話題に挙がったことがある。
そのくらい緋色の目覚めは悪くて、
特に起こされでもしたら大変だと…
幾ら晴でも…
大丈夫なのか?
「…ん…誰だよ。 くそ、マジ…」
「ヒロ君!おはよう。 えへへっ…ボクが先だね、『おはよう』って… ふふっ」
目つきの悪い緋色とは反対に、晴は何にも気づいていない様子で、楽しそうに話しかけ続ける。
「ヒロ君、おはよう。 ね、ヒロ君、ヒロ君…」
「ねぇ晴、しー。 ね」
話かければかけるほど緋色の顔は険しくなっていって、
この空気感に耐えきれなくなった俺が口元に指を一本たてて「しー」と言えば、
晴は首を傾げて俺の真似をした。
本当に晴は…
「ね、ヒロ君…ふふっ」
「晴」
緋色が発した一言で、この場にいる誰もが凍りついた。
あぁ、凍りつける人、俺しか居なかったけど…
それでも、俺だけはビクッと肩をふるわせた。
緋色が激怒するんじゃないかと。
寝ぼけてるし、大好きな晴を怒るのじゃないかと…
何もおきませんように…
本当に、
後で後悔するのは緋色、お前なんだから。
それに、そのあと処理は俺、だろ?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 31