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「こんにちは。 えっと…晴くん?」
「黙れ」
低い音で言葉を発すると、
髪を一つでまとめている女は驚いた様子で固まった。
「大丈夫だからね、晴。 怖くないよ」
「……っ…ゃ、ヒロ君、 ぅあ…」
「そう。俺だよ。 だから怖くないね、晴」
「…ヒロ、君?」
「そうだって。 晴、愛してるよ。 晴、はーる」
不安げに俺を見つめながら少しずつ触れていく晴の名前を連呼しながら、強く抱き締めると、
晴もそれに応えるように、ゆっくりと俺の背中に手を回してくれた。
「偉いな、晴。 良くできた晴にはご褒美あげようね。 ほら、目閉じて…」
「緋色、ストップ」
「何?」
「いや、何。じゃないでしょ? 晴を驚かせちゃったのは謝るからさ?」
お願い。だと懇願する朝比奈にはいはい。と返事をして、
律儀に目を閉じたままの晴に、開けてもいいと、伝えた。
「あの…えっと…」
「うるさい」
何か言おうとした女を睨む。
元はと言えば、こいつが入ってきたから晴が起きちゃったんだから。
ってか女!?
恰好は医者に見えないし…
くそっ。
看護師の実習生とも今年は被ってるのか…
「緋色、そんなにいじめないであげて。 晴が寝てること忘れてた僕が悪いから。ね?」
「ふーん。じゃあ朝比…あぁ、先生が悪いんだって。 どうする?晴」
「…ん? ぅ…や。 せんせ、優しいからぁ…」
「はいはい。 分かったよ」
ばつが悪そうに下を向く晴を半ば無理やり上に向かせ、
わざと音がするようにキスをすると、晴は恥ずかしそうに顔を赤らめた。
それと同時に実習生はドン引きして、
病室を静かに出て行った。
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