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「怠い。死ぬ…」
もういっそ、これは日課と呼ぶか。
カーテンの隙間から漏れる光は明るく、火宮はいない。
すでに慣れ親しんだ状況に、乾いた笑いさえ漏れてくる。
「ハハッ、って、こんな状況に慣れたくないんだけど」
はぁっ、と口をつく溜息が、静かな寝室に響く。
いつの間にか運ばれてるし。
身体はやけにさっぱりしているし。
寝巻きにしているトレーナーを着ているから、風呂にまで入れてくれたっぽい。
「寝ている間にご苦労様でーす」
まったく起きずに知らない俺もすごいと思うが、こうもクタクタに抱き潰してくれる火宮も相当だと思う。
いくら運動不足とはいえ、俺まだピチピチの16歳なんだけど。
体力が有り余る年代だと思うのに、抱かれた翌朝は毎回潰れてるというのが怖すぎる。
「本当、どS。意地悪」
あんなお仕置きって。
ドライってなに。
快楽地獄って…イキっ放しって…。
「あーーっ!やめやめ!」
うっかり思い出しかけて、あまりの恥ずかしさにブンブンと両手を上げて回想を振り払う。
「はーあ。もう2度とこうならないために、勉強しないとなー」
重い腰をさすりつつ、ベッドから足を下ろす。
「そういえばまさか、今日は真鍋さん、来たりしないよな?」
不意に思い浮かび、慌てて見たベッドサイドの時計は12時半。
「おー、昼超えた。寝坊最長記録。って、そうじゃなくて」
つい多くなる独り言をもらしながら、俺はフラつく身体を引きずってリビングに出て行った。
シーンとしたリビングに、当然ながら人の気配はない。
ゆっくりと進んだダイニングテーブルの上には、昼食なのか、四角い箱が置かれている。
「浜崎さん、来たんだ」
近づいて開けて見た箱の中身はお弁当。
今日は中華らしい。
「自炊とか言って、朝も昼も結局ほとんど作ってないし」
なんだかんだで用意してもらってしまっている食事を見つめながら、大きな溜息も漏れるというものだ。
「はぁっ、今夜はちゃんと作ろ…」
身体は怠いけど、こう出来合いの食事が続くのも嫌だ。
「後で食材の買い物を頼んで…そうだ、ついでにノートとシャープペンも買って来てもらわなきゃ」
あれと、これと、とお使いを頼む品を頭に浮かべながら、とりあえず目の前のまだ冷めていない昼食をありがたく頂くことにした。
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