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さん、に、いち…。
全裸になって、四つん這いになって、お尻を高く突き出して。
震えてしまう内腿を叱咤しながら体勢を保って。
ぜろ…。
「……?」
待てども暮らせども、後ろに突き立てられる熱が来ない。
「翼」
ソロリと尻を撫でられ、ピクンと身体が震える。
「っ…」
一体何を躊躇っている?
小さく左右に振った首は、俺の固い決心だ。
「早く…」
わずかに腰を揺らして、火宮の熱を強請る。
決めた覚悟が鈍ってしまわないうちに。
ここへきて焦らされるのはもう辛いだけでしかないから。
「翼…」
苦しそうに響いた声は気のせいか。
「覚悟はいいな?」
もちろん。
緩く顎を引いた瞬間、蕾にピタリと火宮の熱を感じた。
「っ…」
「後悔するなよ」
ゆらりと震えた背後の気配と、耳に届いた火宮の囁き。
火宮は今、どんな顔をしているだろうか。
いつものように意地悪く唇の端を吊り上げて、眇めた目でサディスティックに俺の背中を見下ろしている?
「しませんよ」
「そうか」
ギリッと鳴った歯の軋む音は火宮のもの?
何故そんなに歯を食いしばった。
一瞬湧いた疑問は、次の瞬間に与えられた想像を絶する痛みで霧散した。
「い゛っ…」
「くっ、キツ…」
メリメリと、音が聞こえるかと思った。
なんの愛撫も受けないままのソコに、火宮の滾った熱が押し込まれる。
固く窄んだ蕾の中へ、襞を割り開いて進んでくる。
「いっ、いっ…た、ぁあ、あぁ…」
この世のものとは思えない痛みに、口が空気を求めてパクパク喘いだ。
ぶわっと目から溢れた涙は、苦痛からの生理的な雫。
「力を抜け。俺が痛い」
背後から与えられる自己中心的な命令。
その残酷さにホッとする。
「っ、ごめ、なさ…っ、あ、ぁぁ、っぁ」
「っ…」
「ひぃぁっ…っ、う、く…」
グッと無理に腰を進められ。ピリッとした鋭い痛みが入り口に湧いた。
「いぃあぁっ…痛ぁぁ…」
切れた、と本能的に察した。
ズルリとわずかに滑りのよくなった動きは、流れる血のおかげか。
「っ、く…」
「いぁっ、ひぁっ…た、ぁぁぁ…」
痛みと苦しさの中、なおも進められる火宮の性器が内臓を押し上げる。
前を触りもしてくれない、後ろのいいところを探りもしてくれない、強引で残酷な火宮の熱。
「うぁっ、あっ、あっ」
それでいい。
「ひぃ…い、たい…うぁぁッ」
下手に感じさせられたら、せっかくの思惑が無駄になるから。
「っ、ん。全部入ったぞ」
軽く息を上げた火宮が、ふと腰を引き寄せた。
「飛ぶなよ?」
意地悪な響きを宿した声が届いた瞬間、ズッ、ズッと抽挿が開始された。
「うぁぁっ!ひぃ…あぁぁッ」
目の前がチカチカするような激痛。
身体が真ん中から頭の先まで裂けてしまいそうな痛みが走り、背が仰け反る。
爪を立てたシーツに、グシャリと皺が寄る。
「クッ…締め過ぎだ」
食いちぎる気か、と揶揄う声が、遠くに聞こえる。
「あぁぁっ、痛いーっ、ひぃっ…」
「クッ…いい声だな」
前についていた両手の手首を掴まれ、グイッと後ろに引っ張られる。
肩がギシギシと痛んで、反射的に上半身を起こす。
「痛っ、たい…あぁ…んッ」
「っ、また締まったぞ」
肩甲骨と肩甲骨がぶつかるほど強く両腕を後ろに引かれたまま、繋がった中心部を抜き差しされる。
パンパンと肌がぶつかり合う音が響き、強引な腰使いに身体がガクガクと震える。
「あぁっ!いぁぁっ!んァッ…」
仰け反った喉から、悲鳴に近い嬌声が漏れる。
仰向いた顎が天井を指し、ぼんやりと開いた目は見慣れない照明器具を捉える。
「っ…」
「あぁっ、あンッ…いぁっ…」
痛みしかない中で、ナカを苦しいほどに擦られる。
荒く思いやりの欠片もない身勝手な律動に、それを望んだはずの心から涙が溢れる。
「翼」
「っ、はっ…火宮っ、さっ…」
「こっちを向け」
中心を繋げたまま、火宮が強引に俺の身体を回転させた。
「ひっ、いやぁぁっ!」
ズリッとか、ズチュッとか、ナカを掻き混ぜる淫らな音が響き、内壁が抉り取られるかと思うような感触がした。
痛みに朦朧としてくる視界の中に、向かい合う形になった火宮の顔が見えた。
「ふっ、これで勃たせるのか?淫乱」
「っー!そんなはずっ…」
痛いだけなのに。
言われてそっと視線を落とした俺の性器は、わずかに頭をもたげていた。
「嘘だ…」
「まぁいい。好きにしろ」
ふん、と嘲笑を浮かべ、今度は両足の太腿にかかった火宮の手。
グイッと乱暴に足を左右に開かれ、股関節が悲鳴を上げる。
「いっ…、ひぁぁっ…」
痛みを逃すために、自然と腰が浮いてしまう。
まるで自ら尻を差し出しにいっているような格好が、辛くて嫌でたまらない。
なのに火宮の熱に穿たれているというだけで、熱くなってくる中心はなんなのか。
「好き者。どM」
嘲笑うかのように響いた火宮の声が、心に刃を突き立てる。
「あぁ、もっと…」
もっともっと傷つけて。
酷い言葉と酷い行為で、俺をズタズタに傷つけて。
「クッ。ほら。足りないか?こうしてくれる」
ズッ、ズッと乱暴にナカを突かれ、仰け反った喉に噛み付かれる。
「いッ…」
「ふっ、まだ締まるか」
「いぁっ、あっ、あっ、あンッ…」
「翼」
「いぁぁっ…ひぁ、ンッ、あっ、ん」
むせるような血のにおいの中、痛みしかない律動が繰り返される。
ガクガクと揺さぶられる身体と、身勝手に好き放題犯される後孔が痛い。
それでもこれが、俺の望んだこと。
きっと一生忘れない、残酷に犯された記憶になる。
「ひぃぁっ、痛い、痛いーっ…」
パンパンと肌がぶつかり、ズチュ、ズチュとナカを酷く穿たれる。
「いぁぁ…ひ、みや、さ…っ…」
「っ…」
「火宮さ、っ、ん…」
痛みはとうに限界を超え、意識がぼんやりと霞んできた。
「火宮、さ…ん…」
ふらりと持ち上げた手で何を求めたんだろう。
火宮に向かって伸ばした両手が、足から離れた火宮の片手で、グイと頭上に縫い止められてしまった。
そっか。俺から触れることを許してくれないんだ…。
「翼…」
ズンッ、と一際強くナカを穿たれ、ぐっと下唇を噛み締めた火宮の顔が見えた。
あぁ、どうして…?
どうしてそんなに辛い顔をするの?
ギュッと寄せられた形の良い眉は、いつもの火宮のイキ顔じゃない。
「くっ…」
ドクッ、とナカの火宮が震えた感触がした。
結局俺は、触れもイかせもさせてもらえないまま、限界を超えた苦しみと痛みの中、スゥッと意識を手放した。
「翼…」
そっと髪を撫でてきた優しい感触は夢?
優しく唇に触れた温かく柔らかい感触は…きっと幻。
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