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✳︎暴力描写があります。苦手な方はご注意下さい。
「ひっ…」
ニヤァッ、と気持ちの悪い笑みを浮かべた男が、俺の両足の抵抗を防ぐようにして膝をつく。
足首付近に乗るように座られてしまえば、足の自由はそれだけで奪われてしまった。
「嫌、だ…やめて」
全力で怒鳴ったつもりの声は、湿った弱々しい声にしかならなかった。
「へぇ?さすが。男の煽り方がよく分かっているじゃねぇか」
ジュルッと舌舐めずりをした男の手が、ズボンのベルトにかかる。
「嫌っ!嫌だぁっ…」
煽ってなんかない。
本気で本気で嫌なのに。
カチャカチャとベルトが外されていく音がやけに大きく耳に響き、俺はたまらず、ギュッと固く目を閉じた。
「っ…」
どこで何を間違えたんだろう。
よかれと思って素性を暴露したことが、まさかこんな事態を引き起こす結果になるなんて。
俺が、悪かったのかな。
もっともっと考えて、ここまで考えて行動しないとならなかったんだろうか。
「ごめっ、なさい…。ごめんなさい、火宮さ…」
このことが知られたら、きっとまたあなたを傷つける。
このことを知ったら、あなたはまた、闇色を濃くしてしまう…。
「っ!駄目だっ!」
まだ諦めたら駄目だ。
火宮のために。
俺は俺を守らなくちゃいけない。
グッと力を込めた両足と両腕。
ブンブンと振り回す頭が、腕を押さえる男の手に触れた。
「離せっ…」
ガブッと噛み付いてやった男の手。
ビクッと怯んだ男の手が一瞬緩む。
チャンスか、と思って目を開けた瞬間。
バシィッ、と頬が張られて、俺は驚きにそのまま目を見開いて固まった。
「くそっ、こいつ…」
痛い…。
ジンジンと頬に痺れるような痛みが続く。
ブワッと勝手に湧いた涙が、ボロボロとその頬を伝い落ちる。
「あーぁ、泣いちゃった。おまえ、酷ぇな」
「だって噛みつきやがったんだぞ」
「ぷくくっ、油断してるからだ」
ゲラゲラと、下卑た男たちの声が聞こえる。
駄目だ…敵わない。
一瞬奮い立ったはずの気力が、その声に小さく萎んでいく。
だって抵抗すればしただけ痛い目を見るんだ。
この人数に対して俺は1人で、しかも体格も力も、どう足掻いても敵わない。
「っく…離してよ、やめて…」
紡ぎ出した声は、情けなく震えた小さな懇願になり、諦めがジワジワと俺の全身を満たしていった。
「おい、それ寄越せ」
「はぁっ?んなことしたら、こいつのイイ声が聞こえなくなるじゃねぇか」
「噛みつかれるよりマシだろ」
「えー、上の口も使わねーの?」
いつの間にか脱がされていたズボン。
下着もいつ剥ぎ取られていたのか。
俺が噛み付いた男が、その下着をグイと口の中に押し込んできた。
「はぁ?おまえ、勇気あるな。これに、飛ぶ前に突っ込んだら、ぜってぇ噛みちぎられるぞ」
「だからって脱がせた下着で口を塞ぐとか、ゲスいー」
俺の、パンツ…。
酷い屈辱にますます涙が溢れる。
必死で舌で押し出そうとするけれど、ゴワゴワと口の中いっぱいに押し込められた布は、そう簡単に吐き出せない。
「ふぐぅ…んぐ…」
湧き上がる嫌悪感と苦しさに、ボロボロと涙が溢れた。
グイッと両足を開いて持ち上げられ、羞恥と恐怖に頭が真っ白になった。
「ふぅん、思ったより綺麗な色をしてんだな」
「ほぉ、これは…いけるな」
「へぇ、男の尻なんてどんなものかと思ったけど。さすが、売りやパトロン抱えて稼いでるだけはあるじゃん」
下品な声と共に、ねっとりと、いやらしくておぞましい視線をとんでもない場所に感じる。
「でも男って濡れねぇだろ?このまま突っ込むのか?」
「ばぁーか、まずはこうして軽く解してやんだよ」
「ふぐっ、ぐぅぅっ…」
蕾に触れた、知らない指。
火宮のじゃない、もっと細くて冷たくて、不快感しか湧いてこない他人のそれ。
引き攣り震える俺に構わず、その指先がツプッと蕾の中に押し込まれた。
「ふぐーーっ!」
痛い。
気持ち悪い。
怖い、悔しい、苦しいっ…。
バタバタともがく足は、両側からそれぞれ別の男に押さえられ、抵抗はただ無意味に腰が浮くだけにしかならなかった。
「ふぅん、やりまくってるっつー割には、キツくてよく締まってる」
「ふぐぐぐっ…」
「まぁヤり慣れてんだろうから、適当でいっか」
ズッ、と指を一気にナカに突っ込まれ、遠慮も容赦もなく、グルッと中で回される。
痛みと不快感しかない、前戯にすらならないそれに、意識が遠のいていきそうだ。
「おい、それ、扱いてやれよ」
「上も剥いて、乳首でも可愛がってやれば?慣れてんだし、感じんだろ?」
「なぁ、やっぱり上の口も使わねぇ?もし噛んだら刻む、っつえば、抵抗できねーだろ」
ニヤァッと笑った男の1人の顔が見えた。
カチャッと音がして、キラリと光を弾いたあれは、ナイフ…?
ピタリと頬に触れた、冷たい金属の感触に、鳥肌が立つ。
「しょうがねぇなぁ。自己責任でやれよ?」
「了解」
ウキウキとした男の声に続いて、ズルズルと口の中から布が引き出される。
「っ!嫌っ、いやぁぁぁっ!誰かっ、誰か助けっ…っう!」
「だからうるせぇ、っつってんだろうが。てめぇはこれでも咥えとけ」
一瞬の隙をついて叫んだ瞬間、またも頬を張られた。
その衝撃で口の中を噛んでしまったのだろう。鉄の味が口内に広がる。
「歯を立てたら刺すかんな?」
スッ、と喉元に当てられたナイフの刃先だろう感触に、ビクリと全身が強張る。
鼻を摘まれて、苦しさに開いた口に、情け容赦なく男の露出した性器が押し込まれた。
「う、ぐ、ぐぅ…」
臭い、気持ち悪い、嫌だ…。
ブワッと溢れた涙が滝のように流れる。
下では別の男がグリグリと蕾の中を掻き回し、すでに2本、3本と指を突っ込まれているのが分かる。
乳首は快感の欠片も得られないような乱暴さで、ぎゅむっと摘まれ、グニグニと揉みしだかれて痛い。
「う、ぐぁ…ぐぁぁっ…」
嫌だ、嫌だ、嫌だ…。
いっそ刺してくれ。
火宮以外に好きにされて、身体を汚されてしまうくらいなら俺は。
俺は…。
ヒタリと首元に触れるナイフに、昏い希望を見出して、口の中のおぞましい性器を噛み切ってやろうと、狂気にも似た覚悟を決めた瞬間。
ガァンッ!と響いた、体育倉庫の扉に何かがぶつかったような派手な音と共に、「翼っ!」と叫ぶ、誰かの声が聞こえた。
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