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それからはトントン拍子で事が進んでいった。
「荷物は必要最低限でいいからね」
僕は荷物をまとめる事にした。
住み始めると決めたからには早く住みたい。
だって大好きな大貴とこれからずっと一緒に居られる。朝起きて、寝るまでずっと。
考えるだけでワクワクが止まらない。
だが心配事もあった。
「優、これは?持ってく?」
大貴は僕の荷物まとめを手伝ってくれている。
「あー、それいらないや」
「分かった。じゃあここ置いとくな」
優しい優しい優しい好き。
そう、心配事と言うのは、大貴への気持ちが抑えられるか。
はぁ、無理な気がする。
ダメだダメ。気合い入れなきゃ。
僕は気合いを込めるために「よし」と呟いて片付けに没頭した。
片付けが終わったのは夜の八時を過ぎた頃だった。
本当に集中していたので僕たちは夜ご飯を食べていない。
片付けが終わった途端、ちょうど良くお腹の虫が鳴った。
「ふっ、夜飯食おっうか」
恥ずかしくて俯いて小さく頷いた。
「家で食べれるものある?」
いや、家で食べれるものはほとんどない。
昔は良く自炊をしていたけど、高校に入ってからは何となくしなくなった。
「うーん、何にもないから外に食べに行こう?」
大貴は僕の提案に快く頷いてくれた。
「あ、だったらそのまま家おいで。荷物持って歩くのはちょっと大変だろうけど、その方が効率良くない?」
えっ、もう大貴の家行くんだ。
流石に今日はないだろうと思ってたからいきなりで緊張してきた。
「あ、え、うん。分かったそうする」
ドクドクと脈打っているのが自分でも分かる。
「じゃあ、行こっか」
さり気なく大貴が僕の荷物を持つ。
「えっ、いいよ自分で持つから」
大貴の手から荷物を取り返そうとするとヒョイと避けられた。
「ちょっと大貴、」
僕は大貴の服を引っ張った。
そんなに荷物は多くなく、何なら少ないくらいだけど、僕の荷物を大貴に持たせるのは違う。
「大丈夫だって。お前はちゃんと戸締まりしてあるか見てきてくれる?」
優しく僕の頭に手を置いた。
「で、でも……」
「いいから、早く行っておいで」
大貴に流され、渋々戸締まりを確認した。
その間に大貴は玄関に向かい、靴を履いて準備をしている。
僕は全ての窓を見に行って大貴の元へ向かった。
「お待たせしました」
僕も靴を履いて、準備万端。
この家ともしばらくお別れ。悲しいような、大して悲しくないような。
「優、行くよ」
大貴が玄関に手をかけ、僕を待っている。
そして鍵を手に取って大貴と共に家を出た。
「行ってきます」
家に向かって最後の挨拶。
鍵をしっかり閉めて大貴と歩き出した。
相変わらず荷物は大貴の手にある。
「ねえ、荷物…………」
やっぱり僕が持ちたい。
僕が持たなきゃダメなのに。
「あ、そうだ。優何食べたい?」
話し変えられちゃった。
きっと家に着くまで荷物返してくれないんだろうな。
次は絶対自分で持つと心に誓った。
「んーとね、なんだろ。大貴は?」
今はお腹空いてるから何でも食べたい気分。
だから何でもいいや。
「俺何でもいいよ。優が食べたいやつで」
「えー、それじゃダメなの。何が食べたい?大貴決めて」
ちょっと強気で言うと、観念したように大貴が「うーん」と唸って考え始めた。
大貴が考えている間は沈黙で、僕らの歩く音だけが響き渡った。
こうして大貴と一緒に住む事が出来るなんて思ってもみなくて。
好きな人と一緒に住めるなんて奇跡だ。僕は毎日の生活が楽しみで堪らない。
「あ、」
しばらく考えていた大貴が顔を上げた。
考え事をしていた僕はビクッとした。
「決まった?」
「俺うどん食いたい。なんかシンプルに」
お、いいね。僕も前からうどん食べたいって思ってた。
「いいじゃんうどん。大貴の家の近くにある?うどん屋さん」
「あるよ。有名なチェーン店」
そこからうどんの話を大貴と楽しんで、ゆっくり歩いた。
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