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それからあっという間に一週間は過ぎ、今日はとうとう20日。
大貴に「行っておいで」と言われてからすぐに夏恋に連絡し、駅に十時半に集合と決まった。
『着いたよ』
夏恋からメッセージが届いた。
スマホで時間を確認すると25分だった。
今僕はバスに揺られているけど、後十分ほど掛かりそうだ。
『ごめん、後十分くらいで着くから改札の前で待っててくれる?』
夏恋にそう送ると返信はすぐ帰ってきた。
『待ってるね』
僕はその返信を確認してスマホをポケットにしまった。
今日朝起きたらもう大貴は居なくて、何も言わず出てきたけど、大貴は今日僕が夏恋と会うって事覚えてるのかな。昨日の夜も何も言ってなかったからきっと覚えてないんだと思う。良いんだけど、ちょっと寂しい。
大貴の事を考えていると駅に着いた。僕は急いで降りて夏恋の元へ向かう。
改札の前に夏恋はいた。
小さめの身長に、少し肉付きのある可愛らしい体、黒髪のストレート。
僕は付き合っていた頃、夏恋が本当に好きだった。今は全く好きという感情は出てこない。好きなのは大貴だけ。
「お待たせ」
スマホを触っていた夏恋に声をかけると、僕を見て微笑んだ。
「優くん、久しぶり。来てくれてありがとう」
あれ、なんか優しい雰囲気になった?
昔から優しかったけど、ちょっときつい性格の所も多々あった。
「ちょっと、優くん聞いてる?」
「え、あ、ごめん。何?」
僕がそう返すと「もうっ」と頬を膨らませた。
「ううん、何でもない。それより私ね、映画見たいの。ダメ?」
今日はランチだけ、という予定だった。けど、今日は夜まで大貴帰ってこないから暇だしな。
「うん、いいよ。じゃあ映画館行こう」
「やった!」と嬉しそうに飛び跳ねる夏恋は、昔から変わらず無邪気で可愛らしい。
駅には小さいながら映画館がある。
僕らはそこでチケットを買って、時間までファミレスで昼食を取ることにした。
映画まで後40分程度。
昼食を取るには最適の時間だ。
ファミレスに入り、適当に席につき、メニューを広げる。
「ねえ、私海鮮丼食べたい!美味しそうじゃない?」
「本当だ、美味しそうだね」
夏恋はメニューにデカデカと書かれていた海鮮丼に目を奪われている。
僕は海鮮丼って気分じゃなかったので、親子丼にしよう。
店員さんを呼び、注文をし、すぐに品物は僕らの席に運ばれてきた。
ファミレスにしては結構美味しそうだ。
「いただきまーす」
二人で仲良く手を合わせ、食べ始めた。
夏恋は美味しい美味しいと食べている。
「優くんのやつ、一口ちょうだい?」
「いいよ、はい」
器を夏恋に渡し、一口食べた。
夏恋は僕のスプーンをそのまま使ったけど、あれ、これって関節キス…………
夏恋は気にしてないみたいだけど、僕的にはちょっと。
「親子丼も美味しいね!」
と言いながら僕らに器を返してきた。僕は微笑むことしか出来なかった。
お互いが食べ終わり、ちょっといい時間になった。
「優くん、もう始まっちゃう!急ぐよ!」
夏恋はいきなり僕の手を繋いで走り出した。
「ちょ、ちょっと夏恋、」
「早く早く」
夏恋はとても楽しそうに笑っていた。
僕も大貴とこうやってたまには外でデートしたい。
最近は一緒に出かけるってなかなかないから。
僕の手を握っている相手が夏恋ではなく大貴だと考えると、何だか急に楽しくなってきた。
「何か買ってく?」
気付いたら映画館の中に居て、ポップコーンなどの売り場に来ていた。
「夏恋は?欲しいなら買うけど」
これくらいは僕が奢ってあげないとな。
そんな僕の気を察してか、夏恋は考えている。
「うーん、さっきご飯食べたばっかりだからいらないよ。優くんは?」
「そうだね、僕も良いや」
気付いたら手は離れていた。
良かった。離すタイミングが分からなくて困ってたんだ。
「じゃあ行こう」
夏恋がウキウキしながらチケットを手に中へ入って行ったので、僕もそれに続いた。
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