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その日は12時近くまでリビングで話したりテレビを見たりした。
少しぎこちなさは残っていたけど、満足な時間だった。
そして12時を回った。
プレゼントとか期待してた訳ではないけれど、せめておめでとうくらいは、と思っていたのだが、何もなかった。
ちょっと残念……
珍しく大貴が12時過ぎまで起きてるから僕のために起きててくれたんだと思ったけど、そうじゃなかったみたい。
「じゃあ俺そろそろ寝るわ、おやすみ」
大貴は僕の頭を一撫でして部屋に戻って行った。
「うん、おやすみ」
僕はなるべく笑って見せた。
僕って本当に今日が誕生日だっけ?
自分でも分からなくなってきた。
スマホを見ると確かに3月23日に変わっている。
まぁ、いっか。
関係が少しでも戻ったならそれだけでもう十分だ。
そう言い聞かせて、僕も自室に戻った。
次の日、リビングに行ってみると大貴はいた。
「おはよ」
朝ご飯を作ってるんだと思う。
久々に大貴の作った朝ご飯を食べるなぁ。
「おはよ大貴」
とりあえず挨拶を返す。
うん、良い朝だ。良い朝なんだけど……
まぁ、いいか。もう気にしないで置こう。気にするだけ無駄な気がしてきた。
今日は高校の友達の高橋和希がご飯に誘ってくれている。
春休みが入って既に前半が終わろうとしているので、和希と会うのは二週間ぶりくらい。楽しみだ。
和希とは中学の頃から仲が良いので、気兼ねなく話すことができる。
更には、僕が大貴を好きという気持ちも知っているので、その辺に関しても良き相談相手である。
「僕今日和希とご飯食べてくるね」
食卓で向かい合ってご飯を食べている時、大貴に一応お知らせしといた。
これでちょっとは僕が誕生日って気付いてくれるかなぁ、なんて期待したりもしたけど、
「そうなの?楽しんで来いよ」
と微笑むだけだった。
「ありがとね。大貴もバイト頑張って」
「サンキュ」
朝ご飯を食べた後、大貴はそそくさとバイトに行ってしまった。
家に僕一人ポツンと取り残されて、少し寂しい。
「もうすぐ和希に会えるから耐えよう」
僕は和希との集合時間までどうにか時間を潰し、時間の30分前に家を出た。
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