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ツワリ?
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「わりぃ。今日ちょっと行けそうにないって、主任に言っといて。」
出勤途中、郁生からLINEが入った。
「いいけど。なんて言ったら良いんだよ?」
「ん~。ツワリ?」
ツワリ。
悪阻って、ことはアレか
炊き立てのご飯の匂いにヤラレて、口押さえて流しまで走ってって、オェェエ~ってやってたら、背後で姑が「あら貴女まさか!」なんて言って…
エエエエッ!
ちょ、マジかっ?!
「川上くん。今日、森谷くんは?」
今更ながら、その生々しさにたじろぎ、デスクの前で固まってるおれに、主任がきいてきた。
情けないことに、39才独身の主任(女性)に、包み隠さず事実を告げる勇気が今のおれにはない。
それでつい、小さなウソをついた。
「あ、ハイ。ちょっと…熱があるそうです。」
「あら。大丈夫かしら?ニンシン中は、解熱剤飲めないのよね。」
なんですと?
てか、何故郁生がニンシン中だと主任が知っているのだっ!?
「昨日、産休の書類出てたし。オメガ優遇条例があるのよ、ウチの県には。」
さ、産休。
Thank you、ありがとう!
じゃないやつだよな、うん。
つか、オメガ優遇条例?
色々遅れてる我が県に、そんなのあったのか…。
「じゃあ、そういうことで。頑張ろっか、パパさん?」
ポンと叩かれた肩が、いきなり重くなったような気がした。
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