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みるくがゆ
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部屋のなかにメイドがアルバートとルーナ二人の食事を運んできた。
アルバートは席につくよう促し、正面に座った。
目の前には次々と見たことのない色とりどりの料理が並べられた。
アルバートは軽く祈りを済ませると、ナイフとフォークを手に持ち食べ始める。
「ここにあるものは好きなものを食べていい。みな、俺とお前の食事だ。」
そう言ってアルバートは食べ始めるが、目の前のルーナはそわそわして料理に手をつけない。
「?どうした?食べないのか。」
ルーナは遠慮がちに目の前の深い皿に盛られている料理を指し顔をあげる。
「ぁ、あの…これは、なに、ですか…」
ルーナが指したのは米をミルクで煮込んだ、ミルクリゾットだった。
「ああ、ユージンが消化に良いものを用意したのか。それは、ミルクリゾットだ。」
「みる、く…?」
「要は"みるくがゆ"だな。
ミルクは牛の乳で、かゆは米だ。食べたことは……あるか?」
ルーナはこてんと首をかしげ
「うし……こ、め?…ぁ、な…ない、です」
「…あそこにいたときは何を出されていたんだ?」
「ぇ、えと……黒の、ぱんと……雨水、を…」
その答えを聞いてアルバートは信じられない思いでいっぱいだった。
(黒いパンなど、きっと腐っていたものを出されていたのだろう。しかし雨水……こんな年端もいかない子供に。)
「それに…た、べものを見たのも久しぶりで…だから食べ物が、こ…んなに綺麗なのも…す、ごいです!」
「……ちなみにだが昨日は何を食べた?」
「……ぅ、ぇと…んん…」
「大丈夫だ、言ってみなさい。」
なるべく怖く聞こえないように問いかける。
「ぅ……ぁ…ぉ……檻を……」
「!!?お、り…?」
「ぁ…はぃ…ぼくの、ところには誰も…こない、かったので、そ、その檻を……な、めて…ました……」
自分が思っていたより悲惨な現状を目の当たりにし頭を抱えたくなった。
人としての人権を無視され、生きる糧さえも奪われる。いくら奴隷制度撤廃法を掲げても目の届かないところにはこうした扱いを受けている人間がいる。それを行う非情な人間も。
「……っそうか…。
……これからはちゃんとした食事を食べるんだ。俺と一緒に、もう飢えることがないよう約束しよう。だからもう大丈夫だ。」
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