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赤紙ふたたび-6
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トンカツを食べてお腹も膨れたところで、葵琉を風呂場に連れていった。
「トンカツ美味しかった。な、シロ?」
うちのお袋のトンカツは時々家に来る月灯や鞘にも評判がいい。
道場の門下生には昇級試験の慰労会で振る舞われるから、練習のモチベーションがアップすると長兄がよく言っている。
お袋もみんなが美味しい美味しいと食べてくれるのが嬉しいみたいだ。
「明日の朝もトンカツがいいな」
「よく朝から肉なんか食えるな。俺は魚でいいよ。それより、これどうやって使うんだ?」
当初の目的を思い出すと葵琉は盛大に溜息をついた。
「あー。やだなー、黒くするの」
背中を丸めて俯きながら、気の進まない様子で箱から取り出した薬剤の液を混ぜている。
「シロ」
「何」
「俺が……俺が可愛くなくなっても嫌いにならない?」
「ならないならない。それに初めっから可愛くない」
「ヒド……」
箱からボトルを取り出して液を混ぜたり振ったりしているのが落ち着くと俺にボトルを寄越した。
「手袋、これ」
薄っぺらい透明なビニール手袋を手に嵌める。
「このまま塗ったらいいの?」
「丁寧に塗ってよ」
「はいはい」
ボトルを押すと中身が泡になって出てくるから、ビニール手袋をした手に取って頭に泡をのせて行く。
シャンプーみたいにすぐ流してもいいのかと思ったら液を塗って20分放置するんだと教えられた。
だったら今のうちにテレビを見ながら世界史の課題を済ませてしまいたい。
「じゃ、20分経ったら戻ってくるから」
リビングに行こうとしたのに足首を掴むやつがいるせいで前に進めない。
「何?」
「寒い」
そうか。確かに裸じゃ寒いだろう。
「タオル持ってこようか」
「いらない。シロが暖めてくれるからいい」
あーもう!!
甘やかすのは今日限りだからな。
明日からは絶対に厳しくする!!
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