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赤紙ふたたび-7
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葵琉の背後に回って床に座り、足の間に挟み込むようにして身体を寄せた。
「シロ、あったかい」
「そうか」
黒いジャージだから液の黒いのがついても目立たないだろう。
「ありがと、シロ」
「何、急に改まって」
「明日……恐いな」
「もう喋るな、お前」
人からは甘やかし過ぎだと突っ込まれるだろうけど、不安に押し潰されそうな葵琉が可哀想で見ていられなかった。
黒い液で汚れていない首の辺りにそっと自分の唇を付けた。
「!」
葵琉はびくっと肩を跳ねさせると、目を見開いてこっちを振り向いた。
「今、何かした?」
「さあ?」
先に上がって部屋に戻っていると、葵琉が上がってきたが何故か頭に巻いたタオル外そうとしない。
「頭、乾かさなかったの?」
「違う。シロに見られたくない」
顔を背けて言うのを無理矢理タオルを奪いとってやった。
タオルの下から現れた髪の毛は完全には乾ききっておらず少し水分を含んでいるからか見事に漆黒だ。
こっちを向こうとしない脇腹を擽って向きを換えさせる。
「変だろ?」
何をそんなに落ち込んでいるのか俺にはさっぱりわからない。
「別に。子供みたい」
「だからヤだったんだ。やっぱり明日学校行かない」
「ふざけるな」
誰のために足を棒にして歩き回ったと思ってるんだ。
「いやだ。絶対みんなに笑われる」「大丈夫、みんなそんなにお前の事気にしてない」
「シロ」
「何」
「俺の事、いつか見捨ててもいいからもうちょっとだけ居てくれる?」
眉をハの字に下げて俯いてしまった顔をガシッと掴み持ち上げると、いつもの勝気な瞳に不安の色が揺らめいている。
返事の代わりに目を真っすぐ見てキツく抱き締めると蝋燭の炎が消えるように不安の色が溶けてなくなった。
いかにも染めましたというような艶やかな黒髪に指を通すとサラサラとした感触が心地よい。
初めて出会った時の黒髪姿の記憶は薄れて茶色い印象しかないが、こうして黒に戻してみるととうてい高校生とは思えない。
「葵琉は自分で黒いの似合わないと思ってるでしょ?」
「うん」
「俺は今の方が好きだけどなー」
「風紀だからだろ」
「いや、個人的に」
まだ疑わしげな目でこっちを見てくるからそっと頭に手を乗せて諭す。
「本当だよ。可愛いよ、葵琉」
普段はこんな事言わないけど、今日は特別だ。
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