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赤紙ふたたび-8
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翌日の放課後、葵琉を連れて生指部長の部屋に出頭もとい謝りに行った。
俺が部屋に入ると生指部長は驚いた顔をしたが葵琉の事で話があってきたと告げると物凄~く嫌そうな表情に変わった。
ジャージに身を包んだ生指部長と相対しただけで葵琉は人形のように固まってしまったので、代わりに俺が謝り倒すしかなさそうだ。
「本人も深く反省しておりますので」
「僕の監督不行き届きです」
「よく言って聞かせますので」
思い付く限りの謝罪の言葉を並べてひたすら頭を下げ続ける。
だけど、うちの生指はそんな決まり文句で許されるほど甘くはなかった。
「沢井よぉ、風紀が生指の決定に口挟めるとでも思ったか」
俺の謝罪に目もくれず、生指部長はふんぞり返った。
「生指を嘗めて貰っちゃあ困るなあ」
用は済んだとばかりに回転椅子にドスンと腰を下ろすと椅子がキューっと悲鳴を上げた。
引き出しからタバコとライターを取り出して立ち上がった生指部長を慌てて引き留める。
喫煙所になど行かれてしまったら俺たち生徒は中に入れない。
こうなれば、1回前の貯金を持ち出すしかないか。
「実は……」
前回の「要指導」は俺のミスによるもので、本来受けなくてもいい指導を受けていたんだと訴える。
「なので、この子は」
「何だ、お前の失態か」
俺が沢井流の人間というのを日頃から快く思っていなかった生指部長は、ふんっと鼻を鳴らした。
「はい、申し訳ございません」
悔しい気持ちを全て飲み込んで直角に頭を下げた。
何が何でも成績をあげて見せる、だから次のテストまで猶予を欲しいと大見得を切って処分保留で釈放となった。
今度の定期試験で上位半分以内に入るという条件を出されたが、何とかピンチは切り抜けたとみていいだろう。
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