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恋路の扉-3
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『シロ!』
駄目だ、またちょっと身体が……。
「どうした、お前!?」
身体をブルブルっと震わせた俺を見た悠夜兄さんは眉間に皺を寄せた。
「な、何でもありません」
あんまり見られるとボロが出るからタオルで身体を拭く素振りをして目を逸らした。
最近、葵琉の顔を思い浮かべるだけで何故か身体がカッと熱くなるのだ。
最初のうちは風邪でも引いたかと思っていたがどうやら身体の病ではなさそうだ。
「何だ~お前、好きな人でも出来たか?」
タオルで額の汗を拭いながら悠夜兄さんは俺の目を覗き込んだ。
「……」
好きな人……なのか?
わからない。
わからないのだ。
幼い頃からずっと沢井流学園で過ごしてきた俺はそもそも「恋」なんて知らないのだから。
だけど。
このところ葵琉の顔を見ると心臓がオーケストラのように激しく音を奏で出す。
生意気だけど、どこか憎めない後輩だと思っていた。
俺の失態で生指に送られる羽目になり、満身創痍になった葵琉をうちに泊めた。
そして、その晩キスをした。
2人とも何事もなかったかのように時を過ごし、あいつに赤紙が来た。
黒髪に戻した姿が清楚で可愛らしくて……。
あの時既に俺の心に何らかの異変があったのかもしれない。
だけど、葵琉はどうなのだろうか?
俺ひとりが勝手に盛り上がっていて、葵琉は俺のことをただの先輩としか見ていないのではないだろうか?
「どんなやつだ?」
「はい?」
俺たち以外に誰も居ないのをいいことに悠夜兄さんはストレッチを始めた。
「お前の好きなやつだよ。可愛いのか?」
「別にまだ好きな相手がいると決まったわけでは」
「居るんだろ~俺には分かるんだよ」
稀代の天才と称されるだけあって、柔軟性もひときわ優れている。
伸ばした足を跨ぐように反対の足を立てる。
その姿勢から上半身をグイッと捻ってこっちを振り向いた。
「今度会わせろ」
「は?」
「兄弟子として把握しておかないとな」
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