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恋路の扉-7
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「シロ……さ」
「ん?」
今日は月灯が珍しく欠席で、虎太郎は稽古の為に道場に向かって、生徒会室には俺と葵琉だけが残された。
「シロさ、虎太郎のこと……」
「ん? 虎太郎がどうかしたか?」
何やら深刻そうな口調で話し掛けてくるから、作成していた書類から目を上げて葵琉と向き直った。
「!」
葵琉の目を真っ直ぐ覗き込んだ途端、心臓が大きく跳ねて反射的に目を逸らしてしまった。
本当にどうしてしまったんだ、俺は。
静電気を受けた時のように飛び上がった心臓はちょっとやそっとじゃ元に戻らない。
「シロ?」
訝しげに様子を伺ってくる葵琉の目がまともに見られない。
「シロ、大丈夫?」
「あ、ああ。何でもないよ。で、虎太郎がどうした?」
「やっぱりいい」
「何だよ、言い掛けてやめると気になるだろ。虎太郎に何かあったのか? 先輩から苛めにあってるんじゃないだろうな?」
生真面目で従順な性格の虎太郎は下手をすれば、先輩たちからパシリにでもされかねない。
虎太郎の事で頭がいっぱいになってようやく葵琉と真っ直ぐ向き合えた。
「……」
だけどこっちをじとーっと見たまま何も言わない葵琉に、焦りが募る。
「まさか、本当に苛めに」
「違う」
ピシャリと言い放たれて、葵琉の肩を掴もうと伸ばした手は虚しく空を切った。
「シロ、虎太郎の事ばっかりだ」
「へ?」
「虎太郎がこの学校に入ってきてからシロあんまり俺のこと構ってくれなくなったし」
それは……。
沢井流関連の用事だったり、風紀の用事だったり確かに虎太郎と話す時間は多かった。
あとは俺が葵琉に対する気持ちを意識し出して、今までのように自然に接する事が出来なくなっていたのもある。
「シロ、虎太郎の事好きなんだろ」
「え? あ、え?」
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