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俺のストレス解消法-1
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葵琉と正式に付き合いだしたといっても、何かが大きく変わるわけではなかった。
一緒に帰ったり、お互いの家に泊まったり、休日に出掛けたりと友達同士のような時間を過ごしていた。
告白の結果を心待ちにしていた兄弟子が、何ひとつ浮わついた話のない俺たちに「俺が育て方を間違えたのか~」と真剣に悩みだした頃、事件は起こった。
秋も深まると、卒業というワードが現実として圧し掛かってくるようになる。
俺がいなくなった後、この学校に残していく葵琉には不安要素しかないのだ。
今日も風紀の再指導チェックリストを捲っていると、葵琉の名前に視線が留まった。
当の本人に目を向けると呑気にマンガを楽しんでいる。
「お前また前髪引っ掛かったのか」
「うん」
夏休みにかなり明るい茶色にしていた髪色は最近落ち着いて来たが、今度は前髪が引っ掛かるようになり出した。
俺が何度口を酸っぱくして忠告しても決して切ろうとしない。
体力の差は歴然としているから、押さえつけて切るのは簡単だけど話し合いで解決したかった。
しまいに月灯を引き合いにしてゴネ出したから、ちょっと厳しく叱ったら「シロも瀧川先輩も鞘も大っ嫌い!!」と言い放って生徒会室を飛び出していった。
暫く待ってみても戻って来ないので、校内の巡回を兼ねて鞘と探しに出た。
「居ないですねー」
「うん~ごめんね、巻き込んで」
「いいんですよ」
「さっきの暴言は本人から直接謝らせるから」
校内を一周しても葵琉の姿はなかったので諦めて生徒会室に戻ることにして廊下を引き返す。
「帰っちゃったんでしょうか」
「うんー、今日一緒にご飯食べて帰る約束してたんだけどね」
半分ぐらい開いていた生徒会室のドアから中に入ろうとして、目に入った光景に足がピタリと止まった。
全身が氷漬けにされたように手も足も動かない。
いつも放課後を過ごすソファーで月灯に膝枕されているのは葵琉だった。
「俺はお前が好きだ」
「俺も先輩好きだよ」
俺を好きだと言ったその舌の根も乾かないうちに浮気をする葵琉も大概だけど、長年一緒に過ごした幼馴染みにまで裏切られるとは思わなかった。
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