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俺のストレス解消法-3
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最悪な気分で迎えた週末は散々だった。
「もう怒ってないから」
そんな文面をメールで打っては消して打っては消して……。
嘘はいけないからな。
沢井流のメンバーにも嘘はいけないと常々教えているから、師範たる自分が嘘をつくわけにはいかない。
じゃあこうだ。
「怒ってなくもないから」
そんなメールを送って何になるんだ。
葵琉は今誰と何をしているのか?
たった1日やそこら連絡が来ないだけで、不安になる。
それにあの膝枕の光景。
それが何度も何度も脳裏に蘇ってイライラが募る。
砂糖をボリボリ噛み砕くと少しはイライラがマシになるけどそれも一過性のものだ。
「よし!」
モヤッとした気分を晴らすには道場で一汗流すに限る。
道着に着替えると、虎太郎や悠夜兄さんが稽古をしている道場に向かった。
たまには虎太郎に稽古をつけてやろうと、道場のロッカーにストックしてある砂糖壺片手にウォームアップを始めたら、急な腹痛で虎太郎が帰ってしまった。
今まで皆勤賞だったのにな。
ならば悠夜兄さんに相手をして貰おうと思ったら「悪い。新台入替だから無理」と逃げられた。
型の稽古なら一人で出来るが、今の俺は組手がしたいんだ、組手が!!
残る手立てはひとつ。
パンパンと手を叩いて道場生の練習を止めさせた。
「よーし、今から臨時トーナメント大会だ! 30分後に開始するからな」
トーナメント表を作成して戻ってくると道場は蛻の殻だった。
代わりに早退の理由書が積まれていた。
何故か揃いも揃って沢井流の面子が早退した所為で身体が動かせず不完全燃焼だ。
こんなくさくさした気分の日には気合いの入った試合をしていい汗を流したかったのにな。
仕方ない、事務仕事をするか。
早退の理由書に目を通して承認印を押すのも師範長の仕事だからな。
「法事がありまして」
「稲刈りの手伝いが」
「田植えが」
「茶摘みが」
「みかんの収穫が」
「マグロ漁船に」
……待てよ、何で田植えと稲刈りが同じ時期にあるんだ?
それにマグロ漁船で半休もおかしいだろう。
ズル休みと気付いて更衣室に駆け込んだ頃には全員帰った後だった。
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