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俺のストレス解消法-11
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ハンカチを取り出して目元に滲んだ涙をそっと拭う。
「どうした? 何が辛いの?」
「だって……俺……性格が可愛くないから、見た目だけでも可愛く居たかったのに……」
「可愛いよ」
本当に可愛いんだ。
見てるだけでこんなに心が熱くなるんだ。
頬が緩んだ俺とは対照的に葵琉の顔は苦し気に歪んでしまった。
「……いうの……」
「ん?」
「そういうの要らないから! お世辞とか余計惨めになる!」
無音となった空間に、ボールペンか何かが床に落ちて転がる音が響いた。
「本当だよ」
葵琉の頭を自分の胸に引き寄せた。
「お前を見てるだけで、一緒に居るだけでこんなに心臓がドキドキするんだよ」
制服のズボンをギュッと掴んでいる掌を取って指を絡ませた。
「手だってこんなに熱いんだ」
それだけじゃない、全身が燃えて溶けてしまうかのように熱くなるんだ。
「それもこれも、みんなお前が可愛いからなんだよ。どうしようもなく好きだからなんだよ」
どうか解ってほしい。
「頑張って……オシャレして……シロに認めて欲しいのに」
一生懸命オシャレをして俺の目を惹こうとする気持ちは痛いほど伝わってくる。
二度目に風紀室で会った時も言ってたな。
『見て見て、シロ!』
明るい茶髪をひけらかすように付き出されたのを思い出して笑みが溢れる。
だけど、そんな事しなくたって俺はありのままの飾らないお前の姿がいちばん好きなんだ、この上なく心を引き寄せられるんだ。
だから。
何もしないで。
「お願いだから、俺を不安にさせないで。茶髪も何もいらないから、今のままのお前がいちばん好きだから」
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