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天翔演武-6
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会場の撤収やら慰労会やら、多忙な一夜が明けた翌朝、悠夜兄さんからメールが来た。
「?」
開いてみたが本文もタイトルも空白だ。
ただ1枚だけ写真が添付されていた。
何だこれ!!
写っている調度品から、何度か訪れたことのある悠夜兄さんのマンションの部屋だというのはすぐわかった。
問題は画面中央に鎮座する被写体だった。
キングサイズのベッドで悠夜兄さんに腕枕されて上機嫌でピースサインを出している葵琉。
裸の胸には金メダルが掛けられていた。
「何やってんだ……」
適当に掴んだ服を着て、靴を履くのももどかしく家を飛び出した。
「俺のなんです。返して貰いに来ました」
悠夜兄さんのマンションまでどの道を辿ってきたか全く記憶にない。
だけど気が付けば兄弟子とマンションのエントランスで対峙していた。
「返さないって言ったら?」
「貴方を倒してここを抜けます」
「でも俺強いよ?」
「知ってます」
満面の笑みを崩さず淡々と話す俺を、宅配業者の配達員が二度見していった。
憮然とした表情の悠夜兄さんに距離を詰められても俺の心は乱されない。
どんな事があろうと俺の心は静穏だ。
「じゃあ、これならどうかな? 『兄弟子命令』だ」
「ならば、今この瞬間から俺と貴方は兄でも弟でもない」
それまで余裕で笑顔をキープしていた筋肉がコントロールを失うと同時に場の空気が張り詰める。
「!」
視界を移動してきた何かを手中に収める。
無言で投げつけられた物体の熱さに反射的に掌を開く。
……鍵?
掌に乗っているのはキーケースから外された鍵だった。
「あいつは寝室だ。俺は午後からのレースがあるからもう行く」
鍵はポストに入れておけとだけ言って悠夜兄さんは出ていった。
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