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天翔演武-11
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「悠夜兄さん!?」
先をゆく二人を追って武道場の入り口に向かおうとしたところで、中に入ろうとする人物が目に入った。
入り口を塞ぐように立っているのは悠夜兄さんで、その後ろには何故か銀の姿もあった。
「俺もこっちが気になってなー、ちょっと見に来てみた」
「あの、初級クラスは」
「ああ、それならルミが代わりにやってくれるぞ」
妙な雰囲気を汲み取ったのか銀は、中には入って来ようとしない。
で、何がどうなってるんだ?と首を傾げる悠夜兄さんに事情を話すと、場の空気が一変した。
「へぇ」
悠夜兄さんの視線が一点に止まる。
「なかなか面白い事やってくれるじゃねえか」
あ、まずい。
この飄々とした兄弟子が本気で怒ったところなど、人生で数える程しか見たことがない。
1歩。
また1歩。
悠夜兄さんが武道場の床を踏みしめるごとに、場内の空気が冷えてゆく。
虎太郎を目で退かすと、その場で凍りついたように動けず立ち竦む男を睨み付けた。
「誰に手えだしたんだ? あ?」
血の気が引いて真っ白な顔をした男に向かって悠夜兄さんが1歩踏み込んだ。
次の瞬間、沢井流一のキレを誇る悠夜兄さんの手刀が翻った
ドスン。
ガンッ、ゴン。
ゴロゴロ、ガシャーン。
尻餅をついた男が下駄箱に頭をぶつけてその弾みで、飾ってあった花瓶が転がり落ちて砕けた。
「いいか? 沢井流の神髄は当てずして相手の闘志を削ぐことにあるんだ」
悠夜兄さんは虎太郎に「こいつを葵琉んとこ連れてって謝らせてこい」と命じた。
腰と一緒に魂も抜けてしまったのかフラフラと歩き出す後ろ姿が武道場を出ようとしたところを悠夜兄さんが呼び止めた。
「あ、あと、この花瓶30万な」
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