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《よざくら》わさびもち-1(SIDE悠夜)
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《スピンオフ》よざくら
悠夜おじちゃんが主役のお話です。
季節外れの桜の花びらと共に天から降って来たものは――。
――――――――――
真っ黒ではなくて仄かに蒼を遺す春の空。
ぷかりと浮かぶ金色の月が照らし出したものは可憐な妖精か、はたまた人を惑わす妖怪なのか――。
「何だぁ?」
晩酌のつまみを物色しにコンビニへ行った帰り道、突然眼の前を白い雪のようなものが通過したように見えた。
今何月だよ。
酒も入ってないのに幻覚か?
ちょっと働き過ぎたかな。
ヒラ、ヒラ――バラバラバラ。
「何だこれ!!」
桜の花びらだ。
季節外れの桜の花びらが大挙して舞い落ちて来た。
風もないのにどうしてだ?
そもそも花はとうに散って葉桜だというのに何で花びらが降ってくるんだよ。
訳がわからない。
やっぱり働き過ぎかな、俺。
最近、志朗のやつは葵琉と始めた「天翔演武」とやらが忙しいと言って沢井流を留守にしがちだ。
で、そのツケは俺に回ってくる。
「ぁ……」
「ぁ?」
小さな呟きが耳に届いた気がして上を見上げた直後、大きな塊が落ちてきた。
「ってー!!」
突如のし掛かった重さに耐えきれず後ろに転んで尻餅をつく。
上を見てなかったら大事故だ。
「いってーな、クソ!」
「イタタ……」
「何だお前?」
地面に転がって腰を押さえているのは20歳かそこらの少年だった。
何だぁ?
かぐや姫を迎えに月から降りてきた使者か?
綺麗な作りの顔が月明かりの下で白い輝きを放っていて、柄にもなくそんなロマンチックな発想が頭を過る。
だけど、その手にあるのが透明なタッパーじゃ締まらない。
「花咲か爺さんの真似事か」
「じいさんじゃないですよ」
んな事見りゃあわかる。
「じゃあ何だ」
「あのですね――」
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