アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
《よざくら》わさびもち-3
-
「そもそも何で桜餅なんて作ろうと思った?」
「それはですね、明日沢井流っていう空手教室に護身術の体験入門に行くんです。それで、何か手土産を用意してかなきゃいけないなと思いまして」
んまぁ、奇遇なこと。
それ、うちだようち。
そういや志朗から「明日は体験入門を行うので悠夜兄さんは来なくていいです」と色気もへったくれもないメールが入っていたな。
面白ぇ。
仮にも世継ぎの俺を邪険に扱うとどういう目にあうか身をもって教えてやる。
「その餅作り、俺が手伝ってやるよ(黒い笑み)」
桜餅は桜の葉の塩漬けで作るのだから今から桜の葉を採っても間に合わないということを言い聞かせて桜の木から青年を引き剥がした。
一旦うちに帰って車に乗り込み、スーパーに塩漬けの葉を探しに行ったがそんな物はないと言われた。
「困りましたねー」
俺も料理は年に数回しかしないけど、桜の葉の塩漬けなんてそこらのスーパーで年中置いている物ではないのは容易に想像がつく。
「な、これにしとけ?」
製菓コーナーで見つけたワラビ餅セットをカゴに放り込み、ワラビ餅を作る事で妥協させた。
「ところでお前は何処に住んでんだ?」
「大学の寮です」
「その寮とやらにはキッチンはあるのか?」
「キッチンはないけど電子レンジがありますよ」
「ほう」
「電子レンジにフライパン入れたらクレープ焼けますよ」
まさかの関東風を電子レンジで作るつもりだったのか!?
しかも金属で出来たフライパン電子レンジに入れたら駄目だろ。
俺だってそれくらい知ってるぞ。
さっき俺があの木の下に居合わせなければ明日の沢井流は大惨事だったな。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
67 / 70