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喧嘩 3
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「…。」
「…。」
僕は静かにあーちゃんの怪我の手当を着々と進める。
あーちゃんは何度か口を開こうとするけれど、僕の怒った雰囲気を感じ取ってすぐに口を塞ぐ。
僕の部屋には救急箱が常備されている。
それが置かれるようになったのはあーちゃんが喧嘩をするようになってからだ。
あーちゃんが中学の時は毎日のように喧嘩をして怪我をしては僕の所に来た。
だから僕も怪我の治療は随分と上手くなってしまった。
高校に入って、涼さんと出会ってからあーちゃんの怪我は大分減って今ではこの救急箱を使う事も無くなり安心していたのに…
「よし、終わった。」
救急箱の蓋を閉じる。
「ありがとう。
…なぁしのぶ、なんで怒ってるんだ?」
手当が終わった瞬間、あーちゃんはド直球に聞いてくる。
本当に分かってないみたい。
勝手に怒って、僕がバカみたい。
「あーちゃんのバカ…
僕はあーちゃんが怪我してるのなんて見たくない。もっと自分の事大事にしてよ!」
拗ねてあーちゃんに背中を向ける。
「しのぶ…俺のこと、心配してくれたのか?」
「あ、当たり前でしょ…」
「そっか…じゃあこれからは怪我はしないようにする。」
そう言って背中からあーちゃんに覆いかぶさるように抱きつかれた。
ドクドクと心臓がうるさい。
あーちゃんに聞こえませんように。
「喧嘩もしちゃダメだよ?」
「あー、それは…努力はするよ。」
そこははぐらかされてしまった。
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