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院
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キスをされてる女の子は泣いているようだった
男子はこちらに気づくと顔を歪めて、女の子を隠す
小さかった俺は状況が理解出来ていなかった
泣き声が聞こえたからいじめられてるんだと思ったのだ
でもそこで見たのはキスをしている男女
しかも女の子は泣いている
...泣いてるってことは嫌だってことだよな
小さい俺はそう判断して男子を退かす
男子は俺に殴りかかってきたが、先生、というワードを出すと逃げ出して行った
やはり小学生は先生に弱い
「大丈夫か?」
ぐずぐずと泣いている女の子に声を掛ける
嗚咽で声が出ないらしい
「ひっく...ぐすっ...」
そのまま女の子が泣き止むまで近くにいた
休み時間が終わるチャイムが聞こえる
俺の先生は体育会系の爽やかな先生で、男が女を助けるのは当たり前、という考え方の先生だった
だから、しっかり事情を話せば平気だろう、小さいながらにちゃんと理解していた
授業が始まるチャイムがなる
今はなんの時間だっけ...?
とか考えているうちに女の子は泣き止んだようだった
「あの...」
声を掛けられてやっと気づいた
「あ...大丈夫か?」
俺が声を掛けると女の子はこくこくと頷く
「あの...ごめんなさい。僕のせいで...」
「んー?別にいいって!それより、お前名前なんていうの?」
「天宝院...」
天宝院の後の所はよく聞こえなくて馬鹿な俺は天宝 院 という名前だと思ったのだ
「じゃあ、院な!院、お前何年生?」
院は一瞬驚いたように目を見開きそれから片言で話し出した
「僕...同じ...4年生...」
「え!?」
背も小さく、2年生くらいだと勝手に思っていたため驚きを隠せなかった俺を見て、院はくすくすと笑う
まだ院は教室に戻るのを恐れていたようなので、俺は院と話しながら保健室へ向かった
院は片言でもちゃんと会話をしてくれた
「院は何組なんだ?」
「僕、は3組...和、くんは1組、だよね」
「そうそう!なんで知ってんの?」
「和くん、は有名だ、から...」
「へぇー。」
そんな話をしている間に保健室について、先生に院を預けて俺は教室に戻った
それ以来俺と院は話していないけれど、たまに見かけることはあった
院は友達と楽しそうに話していて、安心したのを覚えている
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