アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
赤と眼鏡のクマさん
-
ショッピングモール内にぬいぐるみ屋さんがあった。
最近できたばかりだ。先生は少し立ち止まったが、
男にぬいぐるみは恥ずかしいのか少し残念そうな顔をしていた。たしかに店内には女の子か男でも彼女にプレゼントするために来ているような人たちばかりだった。
俺は質問した。
「行きたいんですか?」
先生は少し顔を赤らめ頷いた。
「やっ、でもほら、男でぬいぐるみってダメだよね」
少し言い訳っぽく早口で喋る先生の手を取りぬいぐるみ屋さんに連れて行く。
先生は目を輝かせてぬいぐるみを見ていた。
「好きなの買ってあげますよ」
と言うと
「えっ、大丈夫だよ」
と答えてきた。恋人なんだから好きなものくらい買うんだけどな、たしかにあんまりデートはしたことはないけどほんとうに先生のことは大好きだ。
周りを見渡すと赤いクマのぬいぐるみがあった。先生の髪の毛とおんなじだ。他のクマよりも輝いて見えたので先生に隠れて買ってしまった。もう一つ眼鏡をかけたクマも買った。
「先生?本当にいらないんですか?」
「うん。ほんとここに来ることができるだけで良かったから」
なんだか優しく笑うものだから納得してしまった。
フードコートでお昼ご飯を食べた。先生はカルボナーラが好きならしい。少し先生らしい。
そのほかのショップもまわっていたらいつの間にか夜になっていた。今夜はお泊まりではなく自分の家に帰るつもりだ。先生は仕事を持ち帰っていたらしい。
車で家まで送ってもらった。俺の家は普通のマンションだ。桜井先生みたいに大きくはないけれどそこそこ綺麗で新しい。
近くに車を止めてもらった。俺は深呼吸する。
「車降りないの?、」
「あの桜井先生、これあげます。」
見せたのは眼鏡をかけたクマだった。先生は人の気をつかっていらないと言ってくれると思ったから一緒に買っといてよかった。少しベタだけど先生によころんでもらえるならなんでもいい。
「ありがとう、嬉しい」
素直な笑顔で笑ってくれる。ほんとうにうれしい。
「俺も買っちゃいました。この色、先生の髪色と同じで素敵だったから」
髪を触ると少しビクッとした。
「本当にありがとう嬉しいよ。保険室に置かせてもらうよ。」
俺は車から降て先生のほうを向いた。先生は車の中から手を振って行ってしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 50