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練習に入部したての一年生も参加させることになった。
「今からサーブ練すっから、一年は反対のコートから。俺ら二年三年は、こっちのコートから打つぞ」澤村の指示が飛び、散らばっていく。
先ずは肩慣らしと、お手並み拝見、と言ったところだろう。
管原はスタンディングフローターで無回転のボールを打ち込む。
それも自分のいるところから対角に位置するバックレフトのエンドラインギリギリにボールを落とす。
それが、管原の一本目のサーブだった。
「今日はボールが揺れたり落ちたりしてるし、調子いいみたいだな」
「そうみたいだな!いやぁ、一年生に見られてるからかな?」
てへぺろ、がよく似合う管原を見て、隣の澤村は嘆息をひとつする。
「はぁ、スガ。それ自意識過剰だろ」
澤村も隣で管原と同じスタンスで打ち込んでいく。
「ヒャッホー!!俺も調子あげていくぜーっ!」
「一年よ、俺様のレシーブ捌きをしっかり目に焼き付けとけ!」
田中と西之谷も管原に続き、ふざけた口調ながらも、田中はジャンプフローターを一発、一年がいるバックレフトの西之谷がいるど真ん中へ命中させた。
西之谷は田中から来た高さのある揺れる無回転ボールを、地面すれすれまで我慢しバシッ、と受け止める。
西之谷が一瞬だけ介したボールは、先刻の勢いをすべて殺して、セットアップしやすいふわりとしたボールに変化させた。
「龍!そんな鈍い球打っていいのかっ!!」
挑発めいた言葉を発する西之谷にをよそに、影山は真正面に構える小さくも大きく気圧を放つ西之谷に既視感を覚えた。
「のやっさん取るなよ!俺のいいところ横取りしやがって!」
「おめぇが真正面に打ってきたんだろうが!」
「それよりも、後ろの影山が打ちにくそうだぞ!ちょっとは退いてやれ」
澤村がまたも田中と西之谷の間に入る。
影山もエンドラインから遠く離れ、西之谷がいなくなったコートに向かって。
左手でボールを高く、トスをあげ、助走をつける。
そして、寸分違わぬドンピシャの打点でジャンプサーブを繰り出す。
エンドラインから離れた位置での助走から、ジャンプで着地した場所は、西之谷がいたバックレフトだった。
凄まじい回転がかかったドライブサーブは、影山が繰り出した位置から然程のずれも生じないまま、ストレートにバックライトへ打ち込まれた。
それには、田中も西之谷もそして、管原も脱帽し言葉を失っている。
澤村も、呆気にとられた顔をし、「こりゃラッキーな人材を手に入れちまったな」と言うばかりであった。
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