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BL Land「2014 Valentine」Tour{増刊特集}
ハッピーショコラ!!! ■八粒目■
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リニューアルされたサイトは、ビターチョコレートとダークチェリーの色、シャンパンゴールドのグラデーションをベースにして作られていた。
キャッチコピーのフレーズ部分には、横向きにした長方形のチョコレート。端が溶けているように表現され、チョコの上にシャンパンゴールドのような黄金色の文字。
全体に蔦のような細いラインが絡んでいて、曲線が多いからか、柔らかな印象を与える。
サブタイトルとハートのアイコンは濃いピンク。微細なラインでレトロチックに。そして、ゴージャスになるようデザインされている。
写真は、今回の目玉商品 Bel amour 〈可憐な恋心〉 。
チョコの愛らしさを浮き上がらせるために、バックを白の繊細なモチーフ編みのレースにした。レースの下には、ベージュ色のグラシンペーパー。
白のレースはふんわりとぼかしを入れ、ピントは蝶のモチーフに来るようにしてある。
グラシンペーパーには、フランス語が印字され、レースから透けて見えている。
背景の淡い色とキャプションに使われたダークチェリー色。ハッキリとした発色で文字が浮き上がってくるようだ。
まさに特別な世界がそこに広がっていた。
サイトは文句なく大好評。ひっきりなしに注文があり、こちらの制作会社側で受け持った、受付システムもフル稼働している。
タカヤナギとソウジの微妙な空気は、会社へは持ち込んでいないが、conte de fee の店長は、それを感じ取ってか知らずか、時折連絡をしてきて、ソウジとデートをしたいと言ってくる。
今日もそれをタカヤナギが丁重にお断りしている。
***
バレンタインの1週間前になって、ソウジは conte de fee に連絡を入れた。
「…お世話になっております、先日はたいそうなお土産ありがとうございました。美味しく皆でいただきました!…あの先日は突然の着物でびっくりされたかと」
「ソウジさん!お久しぶりです!美味しく食べて頂けて嬉しいです。着物姿は驚きましたが、ほんとうに素敵でしたよ」
散々タカヤナギに邪魔され、ソウジの声を聞いたのはいつぶりだろうか。体中に爽やかな風が満ちていく。
「あの、新作のチョコレートですが大事なひとたちに渡したくて。ギフト用のを2つお願いしても宜しいでしょうか?」
「二つ…ですか…。はい。大丈夫ですよ」
恋する人達の優しい顔や声を何度も見て、聞いてきたサガ。ソウジの声はまさに恋する人の声。
「出来上がりましたら、折り返しご連絡させてもらいますね」
サガは受話器を置き、少しだけため息を漏らした。
自分が味わうほろ苦い思い。大切な人の笑顔。正直な所、その二つを天秤にかけたくなる時もある。
「さて…素敵なバレンタインを過ごしてもらえるように、頑張りますか」
***
バレンタインの3日前の11日、休日を使ってタカヤナギ邸ではチョコレート講座が開かれている。
男子からのチョコレートでも良いじゃないか、っていうことで、DIVE!!! から6人の男子が来て、チサト指導でトリュフを作るのだ。
部屋の主はソファに悠々と座り、エプロン姿のソウジが金網のうえのチョコレートをテンパリングしたものをかけてちまちまと転がしていくのを見ている。
他の男子たちを器用に視界からはずして。
「タカやんセンパイ!味見して、味見ー。めっちゃ美味しいんできた!こんなん自分で作れるんや?感動!!」
ソウジがソファに小走りで持っていき、まだ温もりの残るトリュフを口のなかに放り込む。
「甘っ」
「な。オイシイやろ?」
「んー、俺はこっちのがええわ」
手を引かれると簡単にソウジはタカヤナギの胸に倒れ込み、唇を塞がれた。
甘いチョコレートの味とぴりっと苦い煙草の味が舌を伝わってくる。
「ちょっ、おっさん~いままだ途中っ!!」
慌ててソウジがもがくのを、にやけた顔でタカヤナギが抱きしめた。
「こら、そこの2人!脱線しない、チョコが固まるよっ。テツくんは邪魔しちゃ駄目!」
めざとく見つけられて、チサトから怒声が飛んだ。
***
明日はバレンタイン。ソウジはタカヤナギとチサトと過ごす予定にしている。
conte de fee から受け取った2箱のチョコレートは、着物部屋の鏡の裏に置いてある。
***
バレンタイン、大事なひとに渡す
チョコレートは決まりましたか?
conte de fee のチョコレートは、
オトナなあなたの恋を応援しています。
美しいあなたにふさわしい、
辛口ファンタジーなチョコレートはいかが?
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