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BL Land「2014 Valentine」Tour{増刊特集}
憂鬱なクーベルチュール②
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やっぱ捨てられちゃう、か。
でもいいや、加賀美が一度触れてゴミになっただけだもの、回収して帰ろう。
そんな風に思ったのになぜか加賀美は鞄を開こうとはせず、吸い寄せられるように見つめていると不意に振り返った目とが合いそうになってドキン!とした。
後姿だと油断していて、慌てて目を伏せ机の中の教科書とノートをまさぐる。
動揺はおぼつかない手つきと様々な角度になってしまった本の束とがありありと証明していたが、加賀美にさえバレなければいい。
静まらない心臓を宥め、何とか机の中身を鞄に移し替えし終わったが、そうして顔を上げた時にはもう、さっきの位置にも教室の中からも加賀美の姿は消えていた。
掃除を終えたばかりのゴミ箱に近づきちらりと覗いてみる。鉄板が塗装された底は無機質なクリーム色の一色しかなかった。
持って帰ってはくれたんだ。
嬉しいような、残念なような。
その後のチョコがどうなったのかはわからない。
1ヵ月後には両思いになれたのだけれど、…実は、とその時のことを切り出すにはいささかタイミングが狂ってしまっていて…、
きゅうっと心が縮こまるようなあのとらえどころのない気持ちも、あの日のチョコと一緒に見失ってしまったように思えて…切ない。
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